政治

2023.02.16 08:00

「ロシアは戦争をやめない」 ノルウェーとエストニアが共通見解

大損失でも撤退の見込み薄

ウラジーミル・プーチン大統領は、徴集対象を拡大するために必要なあらゆる法的手段を講じてきた。一方、ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループも戦力増強に貢献するべく、刑務所での受刑者の徴集に注力してきた。

ロシアはいずれ兵力不足に直面する可能性があるものの、それはしばらく先のことになるだろう。戦車や大砲が近く不足することもない。ノルウェーの情報機関は「ロシアは、旧式を中心とした軍装備品を大量に蓄えている。その多くが現役に戻されるだろう」と指摘した。

旧式戦車などの利用によりロシア軍の装備の質が下がっている一方で、ウクライナ軍は欧米製の大砲や戦車で装備の質を上げており、さらには戦闘機の供与を受ける可能性もある。これにより、戦況はウクライナ側に傾くかもしれない。ロシア軍は支配地域の拡大はおろか、現在の支配地を維持するだけでも多くの兵士を失う恐れがある。

ただエストニアの情報機関は、損失が大きくなるだけではロシアがウクライナから自主的に撤退することはないだろうと強調している。

もし、ウクライナ軍がロシア軍を打ち負かし、自国から追い出すことに成功すれば、プーチンが政権内で信用を失い、政権交代につながる可能性がある。だがエストニアの情報機関は、ロシアで政権転覆が起こる可能性は「非常に低い」としている。

仮に、クーデターが起きるとしよう。テロ組織や麻薬組織、そしてロシア政権といった過激派組織では、指導者が排除されると、その代わりにさらに過激な指導者が現れるのが常となっている。ウクライナ侵攻をきっかけにプーチンが失脚すれば、さらにひどい人物がその後を継ぐ可能性は十分にある。そうなれば、戦争は改めて勢いを増すだろう。

エストニアの情報機関は、こう警告している。「今後数年間はプーチン率いる現体制か、あるいはプーチン政権とは若干異なるものの、同様に非民主的で威圧的な新体制がロシアで権力を握り続ける可能性が高い」

ロシアのウクライナ侵攻は、今後数年にわたり続く可能性を覚悟すべきだろう。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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