音声認識の結果をアプリのユーザーがマニュアルで校正。AIモデルの精度が磨かれる
これらのオープンチャレンジに、ユーザーはゲーム感覚で参加できる。チャレンジをクリアした先の対価として「Bobs」と名づけたポイントが付与されるからだ。1 Bobは0.001ドルに換算され、ユーザーは5000 Bobs(5ドル)以上を稼ぐと、AIモデルのトレーニングに参加した報酬として現金交換ができる。報酬はPayPalにより支払われる。同社にはBobidiに参加することによって生まれる収入に、感謝するユーザーの声が次々に寄せられているという。
Bobidiのプラットフォームは「AIを活用するデバイスやサービスの開発を検討する企業にとって、作りたいAIモデルに合わせてテーマを絞り込みつつ、質の高いデータセットが集められるメリットがある。開発にかかる期間も数分の1程度にまで短縮できるだろう」とチェ氏は説く。
Bobidiのモバイルアプリは日本でも各アプリストアからダウンロードできるが、残念ながらまだ対応言語は英語のみで、地域も北米だけで提供されている。日本からオープンチャレンジに参加することができない。Bobidiは早晩、韓国にオフィスの設立を予定している。同じタイミングでサービスの対応言語とエリアを拡大する計画だ。
Bobidiアプリのユーザーはチャレンジをクリアすると報酬を獲得できる。貯めたBobsを現金化できる仕組みもユニークだ
AIモデルは「量より質」の時代
チェ氏は「もはやAIの開発においてはビッグデータ(データの規模)よりも、精度の高いデータセットが重んじられている。Bobidiのプラットフォームもまた、やみくもに多くのデータを収集することを目的としていない。クライアントが必要とするデータをピンポイントで集めて、AIモデルの長所を伸ばし、弱点をつぶす用途に役立ててほしい」と呼びかける。2023年2月現在、Bobidiアプリのアクティブユーザーは3000人前後だという。チェ氏は「ユーザーはみな参加意識が高く、また属性も多様性に富んでいる。クオリティの高いデータを集めるために十分な規模に到達している」と胸を張る。
サービスの提供を開始して以来、NAVERやLGエレクトロニクスに代表される大手企業や、北米のスタートアップがBobidiに関心を寄せているという。今回SCRUM CONNECTに参加したことで、日本市場への進出にも弾みが付くことを期待したい。日本語対応のAIモデルのトレーニングにも、Bobidiが大いに役立ってくれると思う。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
過去記事はこちら>>