スクラムベンチャーズにとって、今年は10周年の記念すべき年となる。スタートを飾った宮田拓弥氏のキーノートは、創業した2013年と現在、そして10年後である2030年代におけるそれぞれ変化と進化を見据え「通信、デバイス/IoT、ソフトウェア/AI、ヘルスケア、小売、スポーツエンタメ、脱炭素、宇宙」という8つのテーマに沿ったものとなった。
考えるだけで操作できる「ブレインマシンインターフェイス」
ドコモがi-modeの提供を始めたのは1999年のこと。すでに現在、より高速な5G通信が提供されており、接続端末も増えている。2030年の通信における注目すべきポイントは6Gであり、多接続、超高速、低遅延など、さらなる進化が考えられる。それにともないすでにさまざまサービスのアイデアが生まれているが、中でもスクラムベンチャーズとしては「ブレインテック」デジタルデバイスを指で操作するのではなく「考えるだけ」で操る新たなインターフェイスの実現に繋がるブレインテックはSFの世界では何度も登場する技術だが、私たちが暮らす現実の世界でも研究が進んでいる。
Mindportal(マインドポータル)は「考えるだけでコンピュータが操作できる」のブレインマシンインターフェイスを開発する企業だが、ポイントは非侵襲性であることだ。イーロン・マスクのNeuralink(ニューラリンク)でも研究が進められているが、同社は脳にデバイスを埋め込む侵襲性のシステムを開発しているが、マインドポータルは外科手術なしで例えばヘッドギアなどを装着するだけで利用できるシステムを開発している。
Mindportalの一般向けブースが、日本だけでなく世界初。すでに日本の企業も興味を持っているという
今回、ブースも設けられていたが、一般への公開は世界初とのことだ。脳波を感知し「考える」だけでカーソルを動かし操作するデモが披露されていた。
その人が必要とする情報のみを表示する技術
約10年前の2001年はカメラを搭載した携帯電話全盛の時代。その後、スマートフォンも登場し、その後の流行はご存知のとおりだ。2015年にはスマートウォッチも登場し、スマホがより便利に使えるようになっただけでなく、健康状態などをモニターできるようにもなった。2016年には現在Meta(メタ)傘下となっているOculusがVRデバイスを発表している。服の中にセンサーを搭載するスマートファブリックなどにも注目が集まるなど、持ち運ぶだけでなく、身につけるものも登場したデバイスは、IoTの力でよりパーソナルなものに進化している。
紹介されたMisapplied Sciencesは、複数の人に対して、同時に別の映像を見せられる独自ディスプレイを開発している。その人が必要とするパーソナライズした画像のみを表示させることができる同社のシステムは、すでにデルタ航空がデトロイト空港で採用しており、特設ゲートを通ると自分が乗る飛行機の情報だけが電光掲示板に表示される。