「Google時価総額1000億ドル超下落」の背景
1998年のグーグル検索の公開以降、Googleは私たちの多くにとって生活になくてはならない情報への窓口であり続けてきた。ウェブ検索がなかった時代に、どのようにして情報を調べていたのかもはや思い出すのも難しいほどだ。当然ながらGoogleは事業としても大成功し、2023年2月現在で時価総額で世界4位となっている。そのGoogleの時価総額が、今週1000億ドル(約13兆円)以上下落した。その理由は、同社がパリで行った対話型AI「Bard」の発表が急ごしらえなのが明らかだったからだ。
一例として、デモの中にあった「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による発見を教えて」という質問に対して、「初めて太陽系外の惑星の画像を捉えた」と回答した。だがこれは誤りである。実際には2004年に欧州南天天文台の超大型望遠鏡が撮影した画像が初めてのものだった。
グーグルの株価が下落した大きな理由の一つは、翌日に行われたMicrosoftの発表がずっと洗練されたものだったからだ。Microsoftは、Googleが大きなシェアを持つウェブ検索とウェブブラウザーのそれぞれにおいて、BingとEdgeという競合製品を提供してきたが、それぞれ10%以下のシェアしか得ることができていなかった。
Microsoftはそれらの製品に、出資先であるOpenAIが開発した大規模言語モデルであるGPT-3の技術を導入した。これはChatGPTの基盤でもある。まず、検索のBingについては、検索のキーワードや質問に端的な自然言語で応答する機能を導入した。
Bingの応答にさらに自然言語で対話を続けることも可能で、前の応答の内容などを参照しながらさらに深掘りなどをすることができる。ブラウザのEdgeでは、表示しているウェブページやPDFの内容の要約などのコンテンツの生成が紹介された。この技術は記事やメールの執筆などにも応用されていくだろう。