実際、オランダやスペイン、ドイツ、フィンランドなどの教育先進国では積極的に採用されているアプローチだが、「ケンブリッジ国際教育プログラム」と「CLIL」、2つを掛け合わせたプログラムの導入は、同校が日本初となる。そして卒業後は、外国語の運用能力を評価する国際基準であるCEFR(セファール)B2またはC1という、高校卒業同等の資格が得られるように設計されている。
英語で教科をしっかりと学ぶプログラムだが、入学時に高度な英語力を必要としないハードルの低さも魅力。日本におけるCLIL教育の専門家をアドバイザーに迎え、例え英語が苦手だとしても安心の体制を整えている。
2.授業は、国語や日本史などの3割を日本語で。その他の7割を英語で学ぶ
これにより、生徒の持つ日本語能力を伸ばしつつ、確実に英語力も身についていく。例えば理科で学んだ人体の構造や、美術で学んだ肖像画についても、英語で学ぶことができるので、上野の博物館を訪れて同じテーマについて学び、同時にプレゼンテーション力を養うといったアカデミックな英語力も取得できるという理論だ。3.「学校法人上野学園」の伝統でもある、音楽教育などのリベラル・アーツにもフォーカス
文化&芸術の都としての上野という立地を存分に活かし、地域コミュニティーとの連携を図る。
公立小学校に通う「一般家庭」の生徒に向けて発信する理由
ではなぜ、120周年を迎える老舗の学園が、この国際コースを開設するに至ったのか。東京に生まれ、小学校高学年から英国ケンブリッジやスコットランドの全寮制スクールで学び、スイスにて経営学士(BBA)及び修士(MBA)を取得するなど、海外教育に精通している「学校法人上野学園」理事・石橋慶晴が語る。「将来世界で活躍できる子供達を我が国、日本の中で大勢育てたいと思ったからです。日本文化を学びながら、単に語学習得だけではない、世界に通用する思考力を身につけるには?と考えた時、生徒が寂しい思いを抱え、親元を離れて海外で生活しなくても、第一線で活躍する国際教育に特化したプロフェッショナルの力を集結させれば、日本で実現できると確信しました。では、幼い頃から高い英語力を身につけていないといけないかと言うと、私は違うと考えます。
つまり、帰国子女の英語力がないと入学できないような国際コースでなく、小学生程度の英語力で入れるこのコースが、これからの時代のスタンダードになるはずだと。その場合、私が最も重視したのは、学び方なのです」(石橋)
結果、特定の富裕層や特別待遇の生徒でなく、一般家庭の子息・子女をターゲット層として、同時に「ケンブリッジ国際教育プログラム」と「CLIL」を導入する英断に至った。