教育

2023.02.15

日本初・国際教育プログラムは、次世代のビジネスリーダーを育成できるか

Getty Images

日本では、ここ数年でライフスタイルが大きく変化し、世界情勢の不安定化によってビジネス環境の変革も強いられている。このような環境下で、経済界のみならず、教育界でも大きな分岐点を迎えた2023年。これまでも国際視点を持つことはデフォルトだったが、今後はカリキュラムを従前の知識中心の内容から、習得した知識を実際どのように使うかを見極め、実践していく力を養う内容へと転換していくことが求められている。

文部科学省では既に転換を推奨しているなか、世界で最も普及している教育プログラム「ケンブリッジ国際教育プログラム」に、「CLIL」の手法を採用した日本初の国際コースを開設する「学校法人上野学園」。将来、グローバルに活躍するビジネスリーダーに不可欠なスキルを様々な角度からプログラミングする、日本初のコースの全貌に迫る。

老舗の学園が、国際的アプローチに特化した教育を始動!

日本において世界で活躍できる人材を育成する場合、「英語力の上達」が必須課題であるのは言うまでもない。英語力を高めるには、海外留学あるいは、インターナショナルスクール入学という2つの選択肢が一般的。しかしながら留学費用や学費などを考えると、富裕層の子息・子女がターゲットとなっているのが現状である。そんな英語教育を日本で生活しながら受けられて、国際的な視野も広がるアプローチが、いま教育界で話題を集めている。

この手法を活かしたコースを日本で初めて開設するのが、「学校法人上野学園」だ。1904年、「上野女学校」として石橋蔵五郎によって設立。その後、「上野高等女学校」を経て「学校法人上野学園」へと名称変更された現在は、男女共学制の中高一貫教育が受けられる学びの場となっている。

人間としての「尊厳」と建学精神を養う「自覚」に加え、伝統として受け継がれてきた豊かな「音楽教育」に特化した教育理念を掲げている。日本で初めて設置された音楽科は、東京都の音楽研究指定校として認定されている。教育業界を牽引してきた歴史も深く、各界で活躍する人材を育成してきた実績を持つ。

どんな時代も社会に適合する美しい調和を大切にする同校は、来たる2024年に迎える120周年記念事業のひとつとして、同年4月6日、中学1年から高校3年までの6年間のプログラム「上野学園国際コース」を開設する予定だ。第1期生は定員20名。「英語力」「グローバルな視野」「21世紀を生き抜く力」を身につけるこのコースには、伝統と革新が織りなす3つの美徳を備えているという。

上野学園の校舎

上野学園の校舎

「ケンブリッジ国際教育プログラム」と「CLIL」とは?

その3つの特徴とは、次のような内容だ。

1.世界で最も普及している「ケンブリッジ国際教育プログラム」に、コンテンツと言語を統合させた学習「CLIL(Content and Language Integrated Learning)」を導入した教育プログラムを実施

そもそも「ケンブリッジ国際教育プログラム」とは、5歳から19歳までの生徒を対象とした教育プロセスで、世界1万校以上が認定校として活用している国際教育のグローバル・スタンダードである。日本の文部科学省は、Cambridge International AS&A Levelsを大学入学資格として認めている。

また、母国語以外の言語を使って教科科目を学ぶ「CLIL」は、内容(Content)・言語(Communication)・思考(Cognition)・文化(Culture)の4つのCを採り入れた授業が展開される学習法。単元の終わりに「End Product」というタスクを設定することで、学習した成果を実際に確認できるメリットがある。

これにより、協働学習と異文化学習を実現できると言われている。単に内容や言葉の暗記という詰め込み式の教育でなく、情報やコンテンツを「自ら考えて処理する思考」に重点を置くことを目的に掲げている。

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文=中村麻美

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