教育

2023.02.01

シカゴ大、ワシントン大医学部がUSニューズのランキングへ反旗

Getty Images

USニューズ&ワールド・レポートのランキングから米国の名門医学部が撤退する動きが広がっている。大学側は、調査方法の問題、正確さへの疑問、悪い影響への懸念、ランキング全体の理念への反対などを理由に挙げている。

今回の発表は、シカゴ大学プリツカー医学部とワシントン大学医学部(セントルイス)が行った。ハーバード大学医学部が1月17日、USニューズのランキングへの参加を拒否することを発表しており、これに続くものである(追記、デューク大学医学部も1月27日、USニューズの医学部ランキングに今後参加しないことを発表した)。

ハーバードに続いて、コロンビア大学ヴァジェロス医学大学院スタンフォード大学医学部、ペンシルバニア大学ペレルマン医学大学院マウントサイナイ医科大学など、評価の高い医学部が次々と撤退した。各校とも、何らかのかたちで、このランキングが、自分たちが最も重視する医学教育の質を捉えていないと主張している。

シカゴ大学プリツカーリツカー医学部

シカゴ大学プリツカー医学部および生物科学部長のマーク・E・アンダーソン医学博士は「我々はUSニューズ編集部に対し、来年の医学部ランキングにデータを提供しないことを通告しました」と述べた。

「この決定は、現在の方法が、医学部志願者という最もデータを必要とする人々に、医学教育の質や成果を把握できない指標の悪用によって、不公平感を与えているという我々の判断に基づくものです」とアンダーソンは付け加えた。

また、プリツカー医学部は、USニューズに対して「医学部志願者、現役医学生、他の医学部を含む関係者を集め、明日の医師を目指す者にとって何が最も重要かを測定し報告する最善の方法を議論するよう」要請したと述べている。

ワシントン大学セントルイス医学部

ワシントン大学医学部関係者に宛てた1月26日付の書簡で、医学部担当上級副学長デヴィッド・H・パルマターは、ランキングからの撤退を「長い間待っていた」と述べている。

パルマターは、ワシントン大学がランキングで上位にあることを誇りに思っている一方で「このようなシステムに参加することは、我々の最も重要な目標を達成する妨げになる点があります」と認めている。「このようなランキングの根拠となる情報は、あまりにも簡単に操作され、誤った表現がなされるもので、データは最終的に検証不可能であり、これにはUSニューズが研究能力を測定する方法も含まれています。その方法論は、私たちが最も深く抱いている組織の価値観の多くを説明することができません。私たちは、自分たちの成功を評価するのであれば、もっとしっかりした基準があるのです」

USニューズへのさらなるデータ提出を拒否した各医学部は、その業績、カリキュラム、基準に関するデータを受験生や一般市民に提供することが重要であることも認めている。各校は、最も有効で意味のあると思われる指標を強調し、個々のウェブサイトでそうすることを約束している。

最近、いくつかの一流法科大学院がUSニューズのランキングに反旗を翻したとき、USニューズは迅速に対応し、今後の法科大学院ランキングの方法を修正することを約束した。シカゴ大学が要求しているように、医学部ランキングに対しても同様の対応がなされるかどうかは、まだ明らかではない。

しかし、1つだけはっきりしていることがある。有力な法学・医学教育者によるランキングへの反旗が、もはや単なるジェスチャーとして簡単に片づけられるものではなくなってきているのだ。一部の人が予想したように、あるいは期待したように、これが大学ランキングの崩壊につながるかどうかはまだわからない、しかし、大学ランキングの信頼性と意味について、世論の監視の目が厳しくなり、正当な懐疑論が生まれることはほぼ間違いないだろう。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太

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