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2023.02.12 08:30

スタートアップシーンは次の局面へ。いま、日本の起業家には何が求められているのか

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2022年、スタートアップシーンの潮目は大きく変わった。米国の金融引き締めに伴い、金融市場は調整局面に突入。SaaSやフィンテックなど、上場ハイテク株の株価調整が世界中で進み、相対的にスタートアップの評価額は割高に。ネット決済の米ストライプや動画投稿アプリの中国バイトダンスなど、世界的なユニコーンの評価額は相次いで急落した。グロース以降のステージでは、評価額を上げての調達が難しくなり、据え置きのフラットラウンドやダウンラウンドを余儀なくされるケースが増えた。

機関投資家は運用資金のポートフォリオ入れ替えを進め、VCも慎重な姿勢に。全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)によると、22年7〜9月期の米国スタートアップ投資額は前年同期比で52%減った。市場の冷え込みを「冬の時代」とたとえる報道が一気に増えた。



この余波は日本のスタートアップシーンにも影響を与えた。しかし、悲観的になり過ぎる必要はない。投資家たちは冷静だ。「いままでが異常によかっただけのこと。ようやく調整局面がきたという認識です。起業家たちは慌てるのではなく、落ち着いて体制を整えればいい」とグローバル・ブレインCEOの百合本安彦は話す。

未曽有の金融緩和による金余りが続いたこの数年は、簡単に資金を集められた、いわばボーナスステージ。株価もコロナ禍で急上昇する前の水準に戻っただけで、市場の適正化が進んだともいえる。「(リーマンショック後の)本当の『冬の時代』を知っている身からすると、いまはまったく冬ではありませんよ」とグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)共同創業パートナーの仮屋薗聡一は強調する。

22年上半期の国内スタートアップの資金調達総額は4160億円(INITIAL調べ)。過去10年間で最大だった21年通年の50.6%に相当し、堅調に推移している。下半期に影響が拡大する懸念はあるが、「国内VCは大型のファンドレイズを積極的に進めており、市場に供給するドライパウダー(待機資金)は潤沢」というのが投資家たちの共通見解だ。

22年には、日米に拠点をもつWiLが10億ドル超のファンドを組成したほか、GCPも500億円規模の7号ファンドを設立。同ファンドには、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が出資したことが明らかになっており、VCアセットクラスに公的資金が流入する呼び水になるのではと期待されている。
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文=眞鍋 武

この記事は 「Forbes JAPAN No.101 2023年1月号(2022/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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