この研究は米バンダービルト大、カナダのトロント大、米バージニア大の各ロースクールの研究チームが実施したもので、論文はオンライン公開されている。
最高裁の調査官職は長い間、法曹界のキャリアの中で最も名誉ある憧れの初期ポジションの一つと考えられてきた。研究チームは、ロースクールでの学歴と最高裁調査官の地位の関係を調べるため、1980年から2020年までの歴代調査官1426人のデータをウィキペディアから収集。さらに、調査官の性別、民族、大学とロースクールの学歴、学業成績に関する情報を収集した。
結果、調査官の出身ロースクールは、ハーバード大とエール大の2校だけで全体の45%を占めていることが分かった。また、全体に占める男性の割合は69%だった。40年の間に女性の比率は高まっていたが、直近の数年でも男性の割合は6割近くあった。法科大学院生の大半は女性であるもかかわらずだ。
全期間を通じて、調査官の87%は白人だった。残りの13%(188人)のうち、100人がアジア太平洋諸島民、48人が黒人、14人がヒスパニック、26人は人種が不明だった。
最高裁の裁判官は、自分に付く書記官を1期につき4人選ぶことができる。名門校の卒業生が選ばれる傾向は、裁判官全員に共通していた。現職の判事9人のうち8人がハーバードかエールのロースクールを卒業していることを考えれば、それほど驚くことではないかもしれない。例外はバレット判事で、ノートルダム大学ロースクール出身だ。
ロバーツ最高裁長官にこれまで付いた58人の調査官のうち、37人がエールまたはハーバードの出身で、ランキング上位25位外のロースクールを卒業したのは1人のみ。ソトマヨール判事は、46人の調査官のうち21人をハーバードかエールから選び、トップ25校以外からは2人だけだった。「さまざまなロースクールから人材を採用することで知られている」トーマス判事も、119人の調査官のうち半数以上の62人をエール、ハーバード、シカゴから選び、上位25校以外の人選は15人のみだった。
たとえ有名なロースクールを卒業したとしても、学部教育をどこで受けたかも重要であることも判明した。研究チームは、対象期間で最も多かったハーバード大ロースクール出身の書記官の学部教育を調査。結果、ハーバード大ロースクールを優等で修了した人の中でも、一流大学22校のいずれかで学部教育を受けていた人の方が、それ以下の大学の出身者よりも書記官として選ばれる可能性が高かった。その大半は、ハーバード、エール、プリンストンの学部卒業生だ。
研究チームは「ハーバード法科大学院を首席で卒業した候補者が2人いたとして、それぞれがどこで学部教育を受けたのかなど、気にすべきだろうか?」と疑問を呈している。
もちろん、名門ロースクールの卒業生のほとんどが優秀であることは確かだ。問題は、最高裁判事が、名門校以外の出身者で同等に優秀な学生を見つけられない、あるいは見つける気がないように見えることだ。
おそらく、判事の人探しが十分でないだけなのだろう。昨年、人工妊娠中絶の権利を撤回した判決文の草稿がリークした問題について、調査を行ったものの犯人を特定できなかったように。
(forbes.com 原文)