京都に住んだ経験があるというJaanaさんは日本文化にも造詣が深い。間もなく北カレリアの生産者を率いて来日する予定だという彼女の活躍は地域どころか国も超えて縦横無尽に広がっている。
持続可能な「ガストロノミーツーリズム」にも注目
同じくRWAOとProAgriaに所属し、持続可能なガストロノミーツーリズム分野で活躍するAnna Rinteinenさんは、いま大きな変化に手応えを感じているという。彼女が牽引してきたヴィア・カレリア観光ルートのフードツーリズムを強化する2つのプロジェクトが、欧州の大きな動きに結びつき実りつつある。
IGCAT(International Institute of Gastronomy, Culture, Arts and Tourism)からこの地域一体のガストロノミーの活動が高く評価され、2024年に European Region of Gastronomy (欧州食文化地域) に南北カレリアを含むサイマー湖周辺の地域一帯が認定されたのだ。
食文化ツーリズムは北カレリアでは比較的新しい取り組みだが、このような欧州の政策によって、世界でも有数の美しい自然が生み出すスーパーフードが自生する森林や雄大な湖を舞台に、世界的なシェフや生産者が集い、北カレリアの自然、文化や歴史が紐づくストーリーが加わることによって別次元のサステナブルガストロノミーツーリズムに発展する可能性が高まったと言える。
このような欧州全域に波及するプロジェクトを通して、北カレリアのアグロフォレストリーによる人間の健康と自然の生態系バランスを保つ究極のフードシステムが世界的に注目されることで、森林の重要性が人間のレクリエーションの場や二酸化炭素削減のツールではなく、より生命に不可欠な命を支える地球の資源だという理解も世界的に深まっていくことを願いたい。