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2023.02.10 12:30

フィンランドで注目の「食べる森」エコシステム 女性起業家が守り人に

キーパーソンは、農村の女性起業家たち


テクノロジーや政策だけではない。北カレリアにはもう一つ、森と食糧を守る大きな推進役がある。それは地元の中小企業を率いる女性の存在だ。

1970年代からの北カレリアの女性起業家の 歴史を紹介するカレンダー

1970年代からの北カレリアの女性起業家の 歴史を紹介するカレンダー


元々歴史的にフィンランドには女性起業家の歴史が長く、女性起業家同士が支え合う組織が国内に1930年代にできている。この北カレリアでは1970年代から活発だったようだ。

しかし、そんな北カレリアでも他の地域同様に、若くて教育を受けた女性が農村地域から流出する傾向が高まり、地域の人口バランスの崩れや社会構造における課題や持続不可能な地域経済を引き起こすようになった。

農村地域の自然の豊かさの魅力は感じながらも、雇用機会やサービスの不足に関連によって移住せざるを得ないと考える女性たちが後を絶たなかった。

 そこで地域のビジネスを発展させて国際化したりすることを奨励し、コミュニティの自給自足レベル、経済バランス、活力を向上させる団体が次々と立ち上がったのだ。食や農業そしてそれを活かしたサステナブルツーリズムの分野で、北カレリアほど女性たちが元気な地域はなかなかないだろう。

RWAO (Rural Women's Advisory Organisation 地方女性起業家アドバイザリー組織)は6万5千人の会員を有するフィンランド最大の女性のための地域事業開発エージェントである。

市や村のレベルでは、会員がそれぞれ協会を設立しているが、この北カレリア地域で最も活発だ。筆者を北カレリアで迎え入れてくれたJaana Puhakkaさんは、この組織の地域を代表する存在で、自身もハンターとして森の生態系保護と様々なビジネスの顧問として熱心に取り組んでいる。

左 食文化観光のアドバイザーのAnna Rinteinenさん 右 事業開発を推進するJaana Puhakkaさん

左 食文化観光のアドバイザーのAnna Rinteinenさん 右 事業開発を推進するJaana Puhakkaさん


Jaanaさんが所属する組織はもう一つある。より農業や食に特化した地域開発を支援するPro Agriaだ。

ProAgriaは1797年設立されたフィンランドで最も古い協会であり、農村ビジネスの収益性、生産、経済、経営に関する専門的なサービスを提供するために東フィンランド支部だけでも約115名の専門家が所属している。

持続可能性な農村地域であるためには単に森林や自然資源を大切にし、クリーンエネルギーを導入することだけでは十分ではなく、地域住民全員を巻き込み、より良い生活環境を足元から共創していく必要がある。

ジェンダー関連の問題だけでなく、毎日の暮らし、食べること、生きること全てに関わり、移住者なども取り込みながら積極的なコミュニティビルディングの支援をしなければならない。
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