それだけではない。なんと、若者には携帯電話を使用するメリットがあることも実証されている。数々の調査で、子どもは携帯電話を使って互いに支え合い、長期的な社会的ネットワークを築くことが証明されている。携帯電話の使用時間について注意を受けることが多い中流階級の子どものほとんどにとって、携帯電話はオンラインだけでなく実生活においても、長く続く真の友情を築く能力を向上させるのだ。問題があるのは、キャンディス・オジャーズが論文内で示したとおり、恵まれない境遇の子どもたちだ。あまり裕福でない若者たちは、ソーシャルメディア上の揉め事に巻き込まれてしまう可能性が高い。また、実生活でいじめを受けたことがある子どもたちは、その後、オンラインで被害者になりやすいこともわかっている。
よくよく考えると、私の子どもたちは世界じゅうの人々とつながっているし、オンラインで新しい考えについて学ぶ機会も多い。あるときなんて、エリスとヘンリーがボンゴや文化の盗用について議論しているのを耳にしたこともある。
「誰かの文化の音楽を演奏していて、ムカつくと言われたら、やめるのが基本的な礼儀でしょ」とエリスは言った。
「じゃあ、エミネムも文化を盗用してるってこと?」とヘンリーは反論した。
私と姉が13歳と15歳のとき、果たしてこんな議論ができただろうか? そうとは思えない。今だって自信がないくらいだ。2000年代生まれの子どもたちは、1970年代、1980年代、そして1990年代生まれの人々には理解できないような重要な考えや情報を理解できるのだ。
『世界を支配する人々だけが知っている10の方程式―成功と権力を手にするための数学講座』(デイヴィッド・サンプター著、千葉敏生訳、光文社刊)