景気後退、「危機下のリーダーシップ」で意識すべき5つのこと

shutterstock.com

誰もが景気後退の兆しを語る中でスタートした2023年も1カ月が過ぎた。多くの企業は、昨年末から景気後退に向けた準備を進めている。テック業界を皮切りに始まった人員削減は、徐々に他の業界にも広がりつつある。2023年は多くの企業やリーダーにとって、生産性の向上が大きなテーマになると言えるだろう。

多くの企業、つまり経営者は、大きな決断を下して、次なる景気の波に備えている。「危機下のリーダーシップ」は経営者だけでなく、大小にかかわらずすべてのリーダーに求められる。

自分の責任範囲でないと起こせない変化を、経営と同じスピードで起こしていくために。リーダーが意識するべき5つのことを紹介したい。

1.危機が起こっていることを認める

今回の景気後退のようなことは、徐々にやってくることもある。リーマンショックのように一夜にして大きく情勢が変わることもあるが、今回は大惨事となる前から景気後退は予測されてきた。

この徐々にやってくる状態は、リーダーにとって大敵である。判断を迷わせ、遅らせていく。「もう少し様子を見よう」という防御反応を生み出し、現状を大きく変える意思決定がしづらくなる。ネガティブインパクトは対応が遅くなればなるほど、大きくなる。危機を認めると意思決定しやすくなる。

2.変化に素早く対応する

コロナのニュースが出始めたころ、私がいた職場ではリモートワーク推奨の方針が日本で2番目に打ち出された。思い出してほしい。まだそこまで大事にもなっていないし、自分事になっていない人が多かった時期だ。誰もが「様子を見よう」と思っていた時期に、この意思決定がされたお陰で初期に罹患する人は最小限に抑えられたのだと思う。

Getty ImagesGetty Images

当然ながらその方針のためにインフラを整えるなど大きな投資をしなければならない。簡単な意思決定ではない、それでも勇気をもって素早く対応すれば、さらに大きな被害を食い止めることができる。

3.一歩下がって俯瞰的に考える

マネージャーはメンバーとは違う世界を見ているし、ダイレクターはマネージャーとは違う世界を見ている。変化を起こすとみんながどんな反応をするかは気になるが、一歩下がって俯瞰的に状況を見ることが必要だ。それは、見ている時間軸の違いとも言える。

中長期的な視点を持っているダイレクターにしかできない意思決定がある。「今、これをやるとみんなが苦しむ」という以上に、「やらないと、もっと多くの人が苦しむ」という視点を強く持って意思決定をする必要がある。
次ページ > 何かを変えるときは反対意見を想定する

文=西野雄介

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事