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2022.12.12

成功モデルは1つじゃない。リーダーが捨てるべき5つのバイアス

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26歳くらいの時に「次世代リーダー研修」なるものを受けた。平均的なプレイヤーだった僕は、特に高い目標も持たず、かと言って、成績を上げることを目指さない人間でもなかった。この研修を経て、参加者の60%ほどが初めてリーダーという役割に昇進をしていった。

特段高い評価を受けているわけではない僕は、リーダーになるリストには入っていなかったらしい。ただ、そのときの研修の外部講師が「この子は可能性がある」と人事に強く言ってくれたおかげでリストに入り、僕も昇進することになった。

もしあのとき講師のプッシュがなければ、僕はリーダーになっていなかったかもしれない。自分のチームを作るときに、時々このことを思い出す。

至極当たり前ではあるが、人には色んな可能性がある。その可能性を引き出す、あるいは才能を最大化させるのがリーダーの最も重要な仕事の一つである。しかし、これが難しい。その可能性は本人も見えていない場合が多いし、ましてや他人がそれを見極め、引き出し、結果を出すまでに導くのは至難の業である。

そこに“壁”として存在するのはさまざまなバイアスだ。それらを理解し、乗り越えていく5つのコツを紹介する。

1.自分の成功モデルがすべてだと思わない


自分の仕事で成功してリーダーになった人は、自分のやり方がすべてだと思い込みやすい。そのうえで、参考となる事例が自分しかいないと、自分を参考に全ての人を率いようとしてしまう。もちろんそこに悪意はない。言い換えれば無意識のバイアスみたいなものだろう。

しかし、自分がうまくいったのは一例にすぎない。他にもいろいろな可能性の引き出し方があるのを認識し、リーダー自身が学び続けることが大事である。

2.異なる職種や考え方の人と一緒に働く


私は長らく営業を経験し、営業組織のリーダーになったが、初めてエンジニアやデザイナーと働いたときに、自分とは世界観が全く違うこと、異なる可能性があることを思い知らされた。

一時的なプロジェクトやチーム横断的な取り組みでも、別の職種の人がいるチームをリードする経験を積むとリーダーシップに幅が出てくる。そのためにもリーダーは、自分のチームに自分とは異なる人を入れることを躊躇してはならない。一緒に働きにくいと思う人が一人もいない組織は、必ずどこかで停滞する。


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3.タイプの違うリーダーに相談する


人事組織のマネジメントをしていた頃にメンバーのことで悩み、エンジニア組織のリーダーに相談したときのこと。その組織のメンバー評価方法があまりに細かく言語化されていたことに驚いたことがある。

営業出身の私はある程度大雑把に、「なんとなく感じること」をその場のコミュニケーションで伝えることで乗り越えていたわけだが、すべての人がコミュニケーションが得意なわけではない。文字で伝えることのほうが自分らしさを表現できる人もいるし、細かい定義があったほうが道筋をつけやすい人もいる。

当事者でなく、第三者だからこそ見えてくる可能性もある。そんなことを最も気が付かせてくれるのは、自分と正反対のリーダーである。
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文=西野雄介

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