ソニーが絶好調でも経営体制を見直すワケ

吉田憲一郎(左)と十時裕樹(右)

”成長にこだわる”と十時新社長

「成長が滞ると(企業全体が)ネガティブなスパイラルに陥る。だからこそ、成長にこだわりたい。顧客に選んでもらえる仕事を続ければ事業は成長し、それが自信となり、周囲も注目することでさらに改善できるポジティブスパイラルに入ることができる。自分が何を目指すのか一つ選べというのであれば、それは”成長”させることだ」

そう十時氏が話すのは、今世紀に入ってどん底の不信へと落ちていったソニーの中にいたからだろう。ネガティブスパイラルは自信を失わせ、優秀な従業員がその能力を発揮できなくなり、新たな事業が生まれるチャンスの芽までも摘んでしまう。

一方で成功体験は新しい成功体験を生む。十時氏がかつて創業したソニー銀行も、そうした成功事例として、最終的にソニーが不振から立ち直る重要なピースとなった。

「吉田はソニーのパーパスを定義し、グループ全体に浸透させた。私は(感動で世界を満たすという)そのパーパスを定着させ、より具体的な事業価値にしていく。ソニーのパーパスは”感動バリューチェーン”という言葉にも置き換えられる。感動を創り出し、その感動を顧客お届けする。その意識を定着させれば、そのバリューチェーンを太く、厚みのあるものにしていくことで、ソニーグループ全体の価値向上に貢献できる(十時氏)」

ソニーは平井時代に経営が立て直され、吉田時代は役割を見つめ直した上で、企業としてのカタチを再編成した。十時氏の時代は、新たなカタチとなって成長への道筋を見つけがソニーが攻勢に出る時代となるのだろうか。

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