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2023.02.08

「インフレ手当」支給企業はわずか1割 物価高で必要派が大多数も

Getty Images

物価上昇が止まらない。2022年12月の消費者物価指数は、前年同月比で4%上昇。第2次オイルショックの影響が続いていた1981年12月(4%)以来、41年ぶりの高水準となり、日銀の物価上昇目標である2%の倍になった。

そうした中、大手を中心にインフレ手当を支給する企業が増加している。福利厚生の食事補助サービスを展開するエデンレッドジャパンは、インフレ手当支給方法の一つとして同サービスへの問い合わせが増えたことを受け、企業のインフレ手当に関する実態調査を実施した。

全国の20~50代の一般社員 300名と、 役員を含む経営者および人事・総務担当者300名の計600名を対象にしたリサーチ結果からは、インフレ手当支給企業の割合やインフレ手当の用途、一般社員が考える理想的なインフレ手当の支給金額などが明らかになった。

まず、インフレ手当の支給率・認知率について調べたところ(※)、すでに「インフレ手当がどういうものか知っており、実際に支給されている」と回答した人は、1割(10.2%)という結果に。

一方で、インフレ手当について「聞いたことがあり、どのようなものかは知っているが、支給されたことはない」が39.3%、「聞いたことはあるが、どのようなものか知らないし、支給されたことはない」が13.1%となり、インフレ手当について認知している人は6割を上回った。

※スクリーニング調査:全国20~50代の男女2248名の正社員が対象

続いて、一般社員に「インフレ手当」の必要性について聞いたところ、約9割が「必要」と回答。その理由としては、半数以上が「現在の給与だけでは家計が厳しいから」(52.2%)「物価高で生活が厳しいから」(51.1%)を選択。さらに「生活に不安を感じているから」(47.4%)が続いた。

「インフレ手当」の使い道を尋ねると、1位が「食費」で7割超に。次いで2位「光熱費」(50%)、3位「燃料費」(24.7%)の順番に。値上げが続く生活関連の費用が上位を占めた。

インフレ手当の支給形式については、76%が「月額手当」が望ましいと回答。また理想的なインフレ手当の支給平均額は、月額手当が6715円、 一時金が6万8812円だった。同社は「物価高で生活苦が続く中、毎月の継続的な支援が必要とされている可能性が考えられる」と分析している。

一方で、経営者および人事・総務担当者300名のうち、「インフレ手当を支給していない」と回答した166名にその理由を聞くと、最多は「特に必要ない」で39.2%。さらに「企業体力がないため」(33.1%)、「業績悪化のため」(24.7%)が続いた。

特に、従業員50名未満の企業でそれらの回答を選んだ割合が高く、企業の規模や体力によってはインフレ手当を支給したくてもできない現状が浮き彫りに。対して従業員500名以上の企業では、「総人件費の増加を避けるため」を選んだ割合が3割で最も高く、別の目的にコストをかけたい、または全体的にコストを抑えたい、という姿勢が垣間見えた。

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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