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2023.01.02 11:00

アーリーステージに特化した異色のVC「645 Ventures」の戦略

Photon photo / Shutterstock.com

アーロン・ホリデイ(Aaron Holiday)とナムディ・オキケ(Nnamdi Okike)は、2014年にベンチャーキャピタル(VC)の「645 Ventures」を設立した。彼らは、データドリブンな投資先の評価を行うことをアピールし、投資家を募ったが、出資に応じたのはわずかだった。同社が投資対象とするシードステージのスタートアップは、データ量が極めて少ないことがその理由だった。

しかし、同社はその後3つのファンドを組成し、運用資産は5億ドル(約680億円)にまで成長し、ビジネスモデルが機能することを証明してみせた。

データドリブンな投資は、もともとグロースステージの企業向けに開発された手法だ。ホリデイとオキケは、この分野に特化した新たなファンドを立ち上げた。同社は12月1日、4号目となるとなる1億9500万ドルのアーリーステージ・ファンドと、より成熟したグロースステージにあるスタートアップを対象とした1億5300万ドルの新ファンドを組成したと発表した。

「我々は、これまでのファンドで行ってきたことを、より大きな規模で行える立場になった」とホリデイは述べた。彼によると、645 Venturesはスタートアップ1社当たり100万ドルから1500万ドルを出資し、投資件数はアーリーステージ・ファンドが約30件、グロースステージが約12件になる予定だという。

ホリデイらは新ファンドの設立後もアーリーステージ投資に時間の大半を割くつもりだ。グロースステージ・ファンドによる投資の約80%は、アーリーステージ・ファンドで既に出資している優良企業への追加出資になる見込みだという。

645 Venturesの立ち位置は、VC業界において非常にユニークだ。Insight PartnersやTiger Globalは、もともとグロースステージの企業を専門にデータドリブンな手法を用いていたが、今ではアーリーステージの企業にも同じアプローチを導入している。VC投資が停滞する中、クランチベースによると、2022年上半期に最も積極的にアーリーステージ投資を行ったのはこの2社だった。

一方、従来からアーリーステージを専門にしていたVCの多くは、645 Venturesほどデータを重視していない。「アーリーステージに特化したVCの多くは、投資をアートだと考えているが、実際には直感で投資しているようなものだ」とオキケは言う。

645 Venturesは両者の中間に位置し、一般的なグロース・ファンドよりもハンズオンな支援を行うことで、通常より早く成長戦略を採用したいスタートアップを惹き付けたいと考えている。オキケによると、同社はこれまでに、即興性よりも準備を重視する起業家たちを選別し、彼らの側からも選ばれることができたという。その中には、理髪店向けソフトウェアを提供する、評価額7億5000万ドルの「Squire」が含まれる。
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編集=上田裕資

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