重要性は増しています。そして、テクノロジーは(これらの課題を解決するための)すべてではありませんが、柔軟かつ俊敏に、そして競争力のある方法で製造・生産するうえで役に立ちます。
たとえば高齢化が進んでいる国では、技術は作業をサポートし、生産性や効率性を向上させ、革新的なビジネスモデルを実現するためのソリューションになり得ます。また、デジタル・ソリューションに投資した企業はサプライヤーから顧客までをつなぐデジタルの仕組みをつくることができます。
それは単にビジネスの質を向上させるだけではありません。気候変動への取り組みに関しても、テクノロジーはソリューションの一部になるのです。
循環型経済について考えてみましょう。再利用や再生産、リサイクルを行うには、製品を追跡する機能が必要です。そして、製品の寿命が尽きたら回収し、再製造して本当にリサイクルされたことを報告できるようにするのです。
あるいは、CO2排出量について考えてみましょう。製造業であれば、Scope1(事業者自らの温室効果ガス直接排出)を管理するのは簡単です。Scope2(他社から供給された電気や熱・蒸気の使用に伴う間接排出)は、サプライヤーと良好なパートナーシップを結んでいれば管理可能な範囲です。一方、Scope3(Scope1、Scope2以外の間接排出)は、世界規模でCO2の排出量を可視化し、透明性を高める技術が必要となります。
繰り返しになりますが、テクノロジーがすべてではありません。しかし、テクノロジーと人材の組み合わせによって、製造業は現在直面しているいくつかの課題を解決するうえで重要な役割を果たすことができるのです。
──他方、ビッグデータ解析やAI、3Dプリンティングなど最新技術に投資する企業の多くが開発のパイロット段階を超えることができないとの指摘もあります。
テクノロジー単体では何も変わらないということを私たち全員が理解することが重要です。
私たち人間は「3Dプリンターがすごい」「ブロックチェーンが変革をもたらす」といった“誇大広告“をしがちですが、製造業においてはソリューションではなく、問題にこだわることが大切です。直面している問題は何か。その問題を解決するために、どのように技術を組み合わせれば最も素晴らしい利用法を生み出すことができるのかを考える。つまり、最適な手段は常にテクノロジーの組み合わせによってもたらされるのです。
我々が持っている最新の数字では、75%の企業がテクノロジーを使ってピボットを試みるものの、具体的なソリューションに役立つユースケースを開発できず、パイロット版の苦境の段階から抜け出せずにいます。
なぜスケールアップできないのか。その理由は実に多岐にわたりますが、ひとつはテクノロジーへの投資の重要性に対する経営陣の理解が不足していることです。ソリューションをスケールさせるための明確な企業戦略がなければ、チームは常に異なる場所や施設で新たなことに挑戦せざるを得なくなります。ちなみに、テクノロジーの導入で成功している企業は、各拠点にあるチーム同士が協力してソリューションを開発し、全社に共有できるような仕組みを構築しています。