トルコ上空に出現した話題のUFO雲、大気科学者が正体を説明

2023年1月19日朝、トルコ・ブルサ県に現れたレンズ雲(Sinan Balcikoca/Anadolu Agency via Getty Images)

SNSにはジョークやフェイクの気象写真がたくさんあるが、現在、バイラルで拡散されているトルコで見つかったオレンジ色の雲の写真は本物だ。2023年1月19日、トルコのブルサ県上空に奇妙な雲が現れた。その雲と見事なその色彩について解説する。

大学時代の友人がTwitter(ツイッター)で私をタグづけして説明を求めるまで、この話題となっている写真のことは知らなかった。写真を見ると、レンズ雲(lenticularis)だとはっきりわかった。

NASAによると、レンズ雲が出現するのは「複雑な地形に強い風が吹き、空気中の水蒸気が交互に圧縮、減圧され、その結果、その下にある地形を反映したような形状に凝縮された」ときだ。

レンズ雲ができるまで(米国国立気象局)

レンズ雲ができるまで(米国国立気象局)



米国気象学会(AMS)用語集によると、レンズ雲は「雲の種類の1つ。ある程度独立した、一般に滑らかなレンズあるいはアーモンドのような形状で、輪郭がはっきりしており、虹色効果(irisation)を示すことがある」とある。虹色効果とは何か? それは彩雲に見られるさまざまな色のことだ。AMS用語集は「虹色効果は、通常数次にわたる光学的回折現象の結果起きる」と説明している。雲粒や氷の粒子の集合は、その中の狭い部分や縁にそって通る光を拡散あるいは屈折させる。ある種の雲(頭巾雲やレンズ雲、および一部の巻雲)では、鮮やかな色彩が見られることがある。

トルコ発の話題の画像は、日の出の瞬間かそれに近い時間に撮られたもので、そのことからもこの色を説明できるだろう。日の出と日の入りのとき、太陽は地平線近くの低い位置にある。光が通過する大気が多いため、青や紫などの短い波長の光は拡散する。その結果、より波長の長い可視光(黄色、橙色および赤色)がより鮮明になる。空気にほこりが多かったり汚染されていたりすると、橙黄色はいっそう鮮やかに見える。

いつも空を見ていると、いろいろと不思議なものが見つかる。

日の出と日の入りの空が赤い理由(英国気象庁)

日の出と日の入りの空が赤い理由(英国気象庁)



forbes.com 原文

翻訳=髙橋信夫

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