ビジネス

2023.01.24

日本一ノートを売る企業コクヨ、トップ社員「最強のメモ術」

ところが、私たちビジネスパーソンの中に、普段からアイデアの種になることを、それ専用のノートをつくってコツコツをストックしている人は、それほど多くありません。このインプットメモを地道に取り続けることが、知的生産力を高めるためにとても有効なわけです。

そうして、いざ実際の企画やアイデアを考えようとするときに、考えうる課題や参考になる事例など、さまざまな情報を紙の上に書き出しながら考える。これが「アウトプットメモ」というわけです。

これは、会議のディスカッションをするとき、ホワイトボードに皆の意見を全部書きながら進めるのと同じです。ある意味、一人会議である「発想」という行為をメモを書きながら進めていくということです。

大前研一氏は企画を考えるときに、読めないくらい汚い字で、それでもスピーディにいろいろ書きなぐりながら発想を広げていたといいます。コクヨの社長も、経営会議でよくA3サイズのノートパッドを使っています。提案者の発言を聞きつつ、そのノートパッドに自分の考えを書き広げてから、アドバイスや指示を出しています。

「インプットメモ」と「アウトプットメモ」を使いこなそう

つまり、もし皆さんが自分の「考える力を高めたい」と思うのであれば、2つのメモの取り方をマスターする必要があるわけです。

それが「自分の気づきをメモしてストックするインプットメモ」と「書きながら自分の考えをまとめていくアウトプットメモ」のスキルです。

実際に、そういった視点でノート術やメモ術の書籍をみてみると『情報は一冊のノートにまとめなさい』や『メモの魔力』は、どちらかというとインプットメモに関するノウハウが多く、『ゼロ秒思考』や『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか? 』はアウトプットメモに関するノウハウが多いと感じます。もちろん、それぞれいろいろな視点を入れて書かれていますので、明確にどちらかに分けられるというわけではありませんが。

そうした、2つのメモの取り方を意識してみると、頭の中だけで思考がグルグル回っていい答えが出てこない状態は、必ずや解消できることでしょう。

情報をインプットメモのスキルを使って、自分の知識として血肉化する。
企画や提案などの知的生産活動をするときには、メモを書きながら考えるというアウトプットメモのスキルを使う。
これが私がだどりついた体系的かつ汎用性のあるノート、メモの使い方です。

具体的な方法論は書籍で確認していただければと思いますが、まずは今メモを書いている目的はインプットのためなのか、アウトプットのためなのかをイメージしてみるといいのではないでしょうか。



下地寛也(しもじ・かんや)◎コクヨ ワークスタイルコンサルタント、エスケイブレイン代表。コクヨがフリーアドレスを導入したことをきっかけに「働き方とオフィスのあり方」を提案する業務に従事し、ワークスタイルを調査、研究する面白さに取りつかれる。以来、働く人の創造性と生産性を向上させるスキルやマインドの研究を続け、最新刊『考える人のメモの技術 手を動かして答えを出す「万能の問題解決術」』(2022年9月、ダイヤモンド社刊)を含め10冊の著書を刊行。常にメモを取りながら、自由で豊かな働き方を実践するためのアウトプットを続けている。コクヨにおいても多くのプロジェクトマネジメント業務に従事。エスケイブレイン代表としてはビジネススキルに関するセミナーや講演、YouTube動画配信などの活動を積極的に行っている。

文=下地 寛也

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