ビジネス

2023.01.24

日本一ノートを売る企業コクヨ、トップ社員「最強のメモ術」

ノート術、メモ術の共通点

2018年に、あらためてダイヤモンド社さんからノート術、メモ術についての執筆のオファーをいただきましたが、はじめはあまり気乗りしませんでした。前回の経験があったので、「これがおススメのノートの使い方です」という答えに、たどり着く自信がなかったからです。

実際にノート術、メモ術に関する本は、たくさん出版されています。もちろん数多くの書籍に目を通しました。20~30冊くらいは読んだでしょうか。有名なところでは『情報は一冊のノートにまとめなさい』『メモの魔力』『ゼロ秒思考』『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか? 』などでしょう。

それぞれのポイントを少しだけご紹介すると次のような感じです。

『情報は一冊のノートにまとめなさい』──ノートは一元化、時系列で取ることで、知的生産のシステムになる

『メモの魔力』──日常の出来事を、ファクト、抽象化、転用の3つでメモすることでアイデアに使えるノートができる

『ゼロ秒思考』──毎日、1テーマ、1ページ、1分で頭に浮かぶことをメモする。それを10分やることで深く考えられるようになる

『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか? 』──方眼が思考のフレームになり、情報が整理されて正しい思考ができるようになる



いずれも、素晴らしい書籍で多くのヒントをいただきました。ただ、実際にどういった人にどのノウハウが合うのか、何を優先してノート術、メモ術を選べばいいのか、まだ明確な答えが私の中で得られませんでした。

その一方で、多くの書籍に出てくるノート術、メモ術の共通点が見え始めたのも事実です。それは「自分の気づきをメモしておく」ということと、「メモを書きながら考える」ということです。

そして、なにより、ノートやメモは、知的生産力をアップする強力な武器になるという確信が芽生え始めました。

考える力がある人のノートはどうなっているのか?


そこで再び、仕事の現場で働いている人がどのようにノートを使っているのか、もう少し調べてみようと思いました。

ただ、漫然と調べるのではなく、「仕事ができる人」「考える力があると思う人」にフォーカスして、どうやって知的生産活動をしているのかを探ろうとしました。

そうすると先ほどのノート術やメモ術の共通点と同じような、いくつかの傾向が見えてきました。それは、

・小さめのノートを常備して、自分の気づきをすぐにメモして仕事の参考にしている

・大きめのノートに考えを書き出しながら、企画を考えている

という人が結構いたことです。そして何より驚いたことが、

・思ったより、ノート1冊で済ませている人は少ない

という事実でした。

そこで、ある仮説が頭に浮かびました。

「知的生産力を高めるためには、自分の気づきをストックするインプットメモと、実際に企画を考えるアウトプットメモのスキルが必要ではないか」

ということです。

アイデアを出したり、企画を考えるといった知的生産活動をするためには、いろいろなアイデアの種や知識の引き出しが必要です。このストックを作るのが「インプットメモ」です。

お笑い芸人がネタ帳をつくることや、小説家や漫画家が作品の世界観をイメージするために様々な取材をしてノートに書きとめておくのが、インプットメモという意味合いです。
次ページ > 「インプットメモ」と「アウトプットメモ」を使いこなそう

文=下地 寛也

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