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神戸市が新卒一括採用という日本型雇用システムを再考した理由とは?

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民間経験者の経験の共有が鍵を握る

国内で長く続いてきた「新卒一括採用」の見直しが、大企業でも議論されはじめている。

しかし、2022年1月にまとめられた経団連の調査では、過去3年間の採用者に占める新卒者と既卒者の割合については9対1と答えた会社が最も多かった。さらに3分の2の会社が新卒の割合が7割以上だったと回答している。

1年前の調査ではあるが、「新卒一括採用」という考え方が日本の企業にまだ根深く残っていることの証しとなるデータである。

そしてそこには、長年同じ会社で働くと給与や退職金が増えていき、それとともに将来の経営陣をじっくりと育成し選抜していくという、「終身雇用」と「年功序列」という日本型の雇用システムが「新卒一括採用」を前提に成立しているという現実がある。

なので、採用方法を見直すということは、この雇用システム全体に影響することでもあるので、どの企業も二の足を踏みがちなのだ。

神戸市では人口減少が始まっている

そんななか神戸市は、これまでの「新卒一括採用」を基本とする方針を見直し、採用者の5割を民間企業などの経験者とし、さらにジョブ型雇用でも幹部候補となる正規職員を登用すると発表した。



12月22日に開かれた記者会見では、久元喜造市長は「転職によってスキルアップを図りたい人が増えている。そのような成長したいという意欲を持ち、挑戦しようとする人材が神戸市には必要だ」と強く訴えた。

職員採用をめぐって、このように大胆な方針転換をした都道府県や政令指定都市はまだない。というのは、翻って考えれば、いまでも新卒中心の採用でそれなりの人材確保ができているからだ。

地方公務員といえば、採用されれば生活に困らない給料が約束されたまま定年まで働くことができる。そして転勤はほとんどない。また、採用試験は勉強すればその努力は報われやすい。すると、堅実な考えを持った保守的な学生が、地方公務員を志望することになる。

阪神・淡路大震災からの復興を成し遂げた神戸市だが、実は人口減少がはじまっている。そうなると職員数は減らさざるを得ない。そうなれば少数精鋭の職員で、大胆な発想をもって都市の新たな戦略を練り、街づくりや産業の活性化の下支えをしていくことが求められる。

そのためには、従来のような堅実な考えを持つ同質な職員たちだけでは、どうしても力不足になるおそれがある。さまざまな経験やスキル、専門性を持った職員が必要になるというわけだ。

経験者を広く雇用してきた神戸市

そのような理由から、神戸市は2023年度の早い時期より、民間企業などの経験者からの応募を年間通じて受け付け、採用試験も年4回実施。採用時期は、4月だけでなく、10月からでも働けるような態勢をとっている。

これまでも神戸市では、民間企業からの転職者の積極採用を行ってきたが、この1年から2年で、約3割であった民間経験者の割合を大きく引きあげることにした。

また、デジタルや法務など専門知識があり部下を束ねた経験がある人材を、ジョブ型雇用として課長級と係長級で採用する。これまでジョブ型は上限5年間と任期を限ることがほとんどであったが、この採用枠で入庁すれば定年まで働けるようにする。
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文=多名部重則

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