火星に降り立った探査機の宿命、NASA「インサイト」が最後に送った画像公開

インサイトは火星の内部を研究するために作られたNASAのロボット探査機(NASA/JPL-CALTECH)

NASAのInsight(インサイト)が消えた。NASAは12月20日、火星探査機インサイトが地球からの交信に返答しなかったことを発表した。

最後の地球との交信は12月15日だったとNASAは述べた。同局は21日、インサイトに代わって最後となる少し感傷的なツイートを行い、現在は「dead bus(燃料切れで動かないバス)」であると宣言した。

つまり12月11日に送られてきたこれらの写真は、史上最高の「火震」検知器が、ゆっくりと、しかし確実に赤い土に覆われていくその最後の姿となった。

「私たちはこの4年間、インサイトを友だちで同僚のように思ってきたため、さよならをいうのはとてもつらい。インサイトは、十分引退に値する仕事をしてくれました」とミッションの主任研究員であるジェット推進研究所(JPL)のブルース・バナートは述べている。


NASAの火星探査機インサイトは2022年12月11日、ロボットアームに設置されたInstrument Deployment Camera(IDC)を使ってこの写真を撮影(NASA/JPL-CALTECH)

それはこのロボットプラットフォームにとって長く、ゆっくりと進行した最期だった。2018年5月に地球を飛び立ったインサイトは同年11月18日に火星に降り立った。

インサイトに搭載された電力はこの1年近く低下を続けていた。吹き荒れる砂塵嵐がソーラーパネルに赤い砂塵を積もらせたためだ。つむじ風がソーラーパネルの砂塵を吹き飛ばしてくれるという希望は、ついに叶わなかった。


初めて火星に着陸したとき、バッテリー残量は電子レンジを1時間40分動かせるほどだったが、2022年中頃には約10分間になっていた。
次ページ > 2年間ミッションを延長していたが

翻訳=高橋信夫

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事