インサイトは4年以上を費やし、搭載した火震計を使って火星の地殻、マントルおよびコアを広大で平坦なエリシアム平原で観測した。NASAの他のミッションでCuriosity(キュリオシティ)やPerseverance(パーサヴィアランス)といった探査車もそこに滞在したため、エリシアム平原は火星の「駐車場」と呼ばれることも多い。
NASAの火星探査機インサイトは2022年12月11日、ロボットアームに設置されinstrument Context Camera(ICC)を使ってこの写真を撮影した(NASA/JPL-CALTECH)
つい先日、Geophysical Research Lettersで2022年5月にインサイトが検知した火震S122aが過去最大の記録だったことが報告された。マグニチュード 4.7は (地球で起きる地震と比べると小さいが)、2021年8月に検知された2番目に大きい火震の4.2を小さく感じさせるものだった。S1222aの波は10時間続き、それまで検知されたものより10倍長かった。
「延長されたミッションのほとんど最後に、この非常に注目すべき出来事があったことに私たちは感動しています」と、論文の主著者であるフランス・パリ地球物理研究所の川村太一氏は話している。この地震から得られたデータに基づき「このミッションは卓越した成功であったといえるでしょう」と同氏は付け加えた。
NASAの火星探査車(Getty Images)
砂塵に覆われることは、火星に降り立つほとんどのNASAミッションに最終的に降りかかる運命だ。赤い惑星を15年間走り回ったNASAの火星探査車Opportunity(オポチュニティ、愛称「オッピー」)は、2018年に一連の砂塵嵐によって、修復不可能になるまでバッテリーを消耗し、最終的に命を絶った。
現在、オポチュニティは「Good Night Oppy」という映画にもなっている(ロボット探査車に感傷的な人にとってはお涙ちょうだいもの)。
インサイトの当初のミッションは2020年12月に終了したが、NASAは2年間ミッションを延長した。インサイトは宿命だった永遠の眠りにつく直前にミッションを完了した。
おやすみ、インサイト。
澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。
(forbes.com 原文)