OCRの調査は、トルコの不動産会社ドルクのクルサト・ペクゴス最高経営責任者(CEO)と、スタンフォード大学出身で南カリフォルニア大学(USC)名誉教授のジェームズ・モーアによる苦情申し立てを受けたもの。
ペクゴスがUSCの大学院生だったときに出会った2人は、スタンフォード大のプログラムが、「教育改正法第9編(タイトル・ナイン)」に違反していると主張。タイトル・ナインは、連邦政府から助成金を受け取る教育機関での性差別を禁止しており、米国のほぼ全ての大学が対象となる。
ムーアとペクゴスは、スタンフォード大が提供する27プログラムについて、タイトル・ナイン違反を主張。公民権局は、そのうちの五つについて公式に調査を開始した。
2人は、科学・工学の分野で女性教員の採用・保持に向けた支援がある一方で、男性には同等の支援がないと指摘。さらに、現学生の性別構成は女性が男性を上回っており、女性を支援するプログラムは時代遅れだと主張している。
実際、米国で学士号を取得する人は1980年代半ば以降、女性が男性を上回っている。また、高校や大学での成績平均点(GPA)は女性の方が上だ。男性が多いSTEM(科学、技術、工学、数学)分野でさえ、女性は男性より成績が高いというデータがある。大学院でも、法科大学院では2016年から、医科大学院では19年から女性の数が男性を上回っている。
だが、工学やコンピューター科学、経営など、高収入につながる分野では今も、女性の数が男性よりも少ない。学士号取得者に占める女性の割合は、コンピューター科学専攻で20%、工学専攻では22%のみだ。また、18年にフルタイムの経営学修士(MBA)課程に出願した女性の割合は38%にとどまった。