──ひとつの目標が達成できた今、「ダウ90000」は何を目指しますか。
実は、最初から変わらず目指しているのは、お笑いのお客さんを演劇の方に引きこむことなんです。今、演劇は観客も高年齢化が進んでいます。若者が初めて見る演劇の舞台といえば、夢を追っているバイト先の先輩の公演だったりしますよね。
そのくらいしか入り口がないから、本当はその人がハマる公演があるはずなのに、なかなか出会えない。僕らは、「演劇」と「お笑い」の狭間のいい位置につけているのがうまくいった理由だと思うのですが、それを活かしていきたい。つまり、僕らが演劇への入り口を広げる役割を果たせたらと思っています。
あとは、演劇にもお笑いにもまったく興味のない人にどうやったら観てもらえるかも考えていきたいですね。
──そのためには両方を続けていく必要がありますね。
そうですね。今後も毎年演劇とコントの公演を1年に一度続けていく予定です。そのうえで、メンバー個々人でも活動を広げていってもらえればと思っています。8人での公演は、続けたいですね。
それから、演劇とお笑いというふたつの分野でやるからには、ちゃんとした結果を残したい。演劇なら岸田戯曲賞、お笑いの賞レースならキングオブコント優勝といった冠ははやく欲しいです。
──12月15日には、ゲストを迎えたユニットライブシリーズ「+90000(タスキュウマン)」の初回公演がありました。お笑い界の先輩・Aマッソ加納さんとの共同作演で、まさに演劇とコントの融合でしたが、どんなことを学びましたか。
加納さんも僕も、今まで共同で脚本を書いた経験がなかったので、どうやってやろうか、と探り合う時間が結構長かったのですが、意外にできるなとわかりました。
まず僕が起承転結を起こし、その後はほぼ五分五分で台本をつくりあげました。加納さんのアイデアから色々ふくらませていくのも、一人でやっていてはできないことなので勉強になりました。「ダウ90000」は、会話のやりとりで進む台本が多いのですが、普段は見られない身体を張った見せ場も書いてくれたりして、楽しかったですね。
1日2公演だけのユニットライブで長尺の新作台本をやるって、まずないことです。かなり「本気」で取り組んだのでコスパは悪いのですが、そのぶん配信やテレビ番組を通じて、多くの人に見ていただけたらなと思います。
──最後に、蓮見さんご自身の夢を教えて下さい。
将来の夢は、劇場を持つことです。それも、小さいのではなく大きいものを。
僕は「舞台で飯を食う」という演出がめちゃくちゃ面白いと思ってるんですよ。でも、それって衛生管理などの問題もあって、お借りしている劇場ではなかなかできないことです。
もし何十年後、それなりの力がついて自分の劇場を持てたら、例えば舞台中央に回転寿司のセットをつくって周りに客席を配置するとか、できるかもしれません。その時は、「蓮見が呼んだ芸人さんなら見てみたい」とお客さんが来てくれるような存在になれたらうれしいなと思っています。
最近はテレビやラジオのお仕事もたくさんいただいていますが、やはり舞台が一番好きなんですよね。
*ダウ90000がゲストにAマッソを迎えた「+90000」のアーカイブ配信は2023年1月8日(日)23:59まで。さらに、12月26日(月)深夜0時30分〜のテレビ朝日『+90000アラウンド』では、公演の模様を地上波初放送。番組オリジナル企画もあり!