せめて月に一度、可能なら二度でも三度でも、誰にも邪魔されず、リモートワークや寛ぎに、また遊びにと、自分のために滞在してみるといい。
日本のホテルは旅館の歴史と相俟って、伝統的かと思えば西洋のホテルのごとくスタイリッシュに最新鋭設備を纏い東西融合の感性が心地いい。
もてなしは繊細な日本流、デザインも世界が認める洗練さが光る。
まずは週末、金曜日の夜にチェックイン、ゆったりと日曜日の午後まで、我儘な時を満喫するのが大人のホテル利用の流儀である。
ホテルジャーナリスト せきねきょうこ
‘東京のオアシス’として70年 ホテルの圧倒的な存在感は庭園に!
季節によって蛍が飛び交うホテル椿山荘東京は、木々が茂り渓流が流れる広大な庭園が唯一無二の魅力となっている。大都会の中心に於いてこれほどの庭園を所有するホテルは他には見当たらない。その庭園を活かし、四季折々の自然の中で繰り広げられるホテル椿山荘東京では、ここならではの様々なイベントが注目されている。
最近ではメディアがこぞって報じた「東京雲海」がある。雲海のドラマティックな出現に話題が沸騰。本物ではないと分かってはいても、庭園に現れる雲海に多くの人が魅せられ、心癒される。
伝統と現代技術の融合により現れる奇跡の絶景‘雲海’は、こうして東京に現れ、人々に夢を与え、大いに喜ばれ、そして驚きに満ちたエンターテイメントとして成功している。また、庭の木々が1000灯もの光で照らされるという庭園ライトアップや、雲海を照らす淡い光‘オーロラ’も幻想的に演出されている。
まさにこれぞ神秘の‘雲海’。ホテルが創り出すエンターテイメント「東京雲海」は大きな話題に。
日本生まれの高級ホテル「ホテル椿山荘東京」は、滞在の楽しみを提供しながら70年目を迎え、2022年11月11日、ホテルは、人なら‘古希’にあたる記念すべき良き日を迎えた。この喜びを顧客や新しいゲストと共に皆で祝おうと、2023年も‘70周年イヤー’が続けられるという。
久しぶりに訪れ滞在した「ホテル椿山荘東京」は、この日、週初の月曜日と言うのに満室の盛況ぶりだ。ロビーラウンジ「ル・ジャルダン」はもちろん席はなかった。館内に漂う高級感、スタッフの濃やかなケアと、彼らと交わす会話から成り立つ温かなもてなしは、ニューオープンのホテルでは残念ながら様子が変わっている。
ここ「ホテル椿山荘東京」のような優雅なロビー、英国式アフタヌーンティーが良く似合う理想的なラウンジ「ル・ジャルダン」、そして随所に使われている高品質の大理石も、今では確かに‘クラシック’とか‘アンティーク’とか呼ばれそうであるが、私にはそれらが、返って今だからこそ新鮮に思えたから不思議である。
ロビー全景。右奥には創業以来、アフタヌーンティーが人気のロビーラウンジ「ル・ジャルダン」。
私を含む我儘なホテル愛好家たちは、時々、こうした高級ホテルで、すっぽりと埋まるようなソファに包まれて過ごしたいと本気で願っているはずだ。また日常から非日常の世界へと誘われる客室では、誰にも邪魔されずに、ただ自分の世界を優雅に楽しみたいとも望んでいる。少なくとも、多忙な仕事に邁進するビジネスマンや、頑張り屋の女性ワーカーたちにも、メイド・イン・ジャパンのこのホテルで‘一休み’の休暇をお薦めしよう。
ロビーの圧倒的な高級感を演出するのは家具や調度品の他、随所に使われているこの高品質の大理石にもある。