例えば同じ画像に、Adobe Stockからダウンロードした画像を後から加えた場合も、Stock画像ファイルの詳細や、Photoshopでどのような加工を後付けしたのか、アクティビティの履歴をトラッキングできる。
来歴情報はC2PA規格に対応するカメラや画像編集アプリケーションがそれぞれファイルに付与する。確認サイトではそのメタデータを仕分けて表示する役割を担う。
途中、CAIに加盟せず、C2PA規格に対応しないプロダクトやサービスによる画像加工が介入した場合は「アンノウン」なプロセスがあることを確認サイトが表示する。CAIに賛同するパートナーの輪が広がるほどに「来歴記録があるファイルの信頼性」が高まり、反対に来歴記録が可視化されないファイルの場合、コンテンツの権利を侵害する恐れがあることから、制作物やSNSに使わないという選択を、ユーザーが採れるようになるという仕組みだ。
コンテンツを使う側の理解も深めたい
来歴記録を可視化する技術はC2PAで標準化され、今後CAIに参画するパートナーにオープンソースのSDKツールを広く公開する。
CAIは今後、写真やイラストなどクリエーションに関わるデータを「使う側の理解」を促進することにも力を入れるべきだ。コンテンツのクリエイターとユーザー以外の、第三者がすべてのコンテンツの改ざんや不正使用をパトロールすることは不可能に近いからだ。
「確認サイト」にはコンテンツクレデンシャルのない箇所があることも表示される。不正な使用・加工が疑われるファイルには手を出さないという、使う側のマナーに関する認知も広げる必要がある
昨今は画像や文章、音楽などを自動生成する「ジェネレーティブAI」を活用したアプリ、エンターテインメントなども注目を集めている。アドビも将来、クリエイターが作成した画像に最適な「背景」を自動生成するジェネレーティブAIをPhotoshopなどのツールに実装するため開発を進めている。最先端のAIテクノロジーがクリエイターの創造性を高めることにつながれば最良だが、一方でツールやソリューションを提供する企業は、AIを倫理的な方法で利活用するためのルール作りについても意識する必要がありそうだ。
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