ユーザーとクリエイター、パートナーを巻き込むエコシステム
Locatone Studioにより制作したコンテンツの利用ログは、ユーザーがアプリを使う際に登録した属性情報を元に、ソニーが提供するツール「Locatone Analytics」のダッシュボード機能により解析できる。アプリ内課金の仕組みを使って、デベロッパーがSound ARを介して提供するエンターテインメントや情報を収益化する仕組みも整っている。
ロケトーンのユーザーの行動ログが解析できるツール「Locatone Analytics」も用意する
ソニーの近藤氏は「ソニーだからこそできるテクノロジーやサービスの特色を濃くしながら、ユーザーとクリエイター、パートナーを巻き込んだSound ARのエコシステムを強くしたい」と今後に向けて意気込む。
Sound ARはソニーのビジネスであり、同時に音によるメタバースという新しい価値創造のための挑戦なのだ。ロケトーンアプリを立ち上げてから約2年の間に、蓄えてきたノウハウを今後の「仲間づくり」のために出し惜しみするつもりはないと、近藤氏と八木氏は口を揃える。Sound ARのエコシステムを大きく育てるため、これからも外部パートナーを積極的に呼び込む。
ロケトーンのコンテンツを一般のクリエイターから募集するコンテストが2022年秋に実施された
ロケトーンを体験したユーザーとして、筆者は2つのことをリクエストしたい。
長く続いた新型コロナウイルスによるパンデミックの影響が落ち着き、22年秋から日本への入国制限が緩和された。人気の観光地には海外から日本を訪れる人々も増えている。今後Sound ARは、訪日外国人旅行者に日本の街の魅力を伝える用途にも役立つはずだ。
ロケトーンでは現在、横浜みなとみらい地区に足を運ぶ訪日旅行者のため、地域の魅力を紹介する「WALK AROUND MIRAI」というコンテンツを配信している。コンテンツは現在対応済みの日本語と英語に加え、今後は中国・韓国語・ウクライナ語でのナビゲーションに対応する。課題はロケトーンアプリが海外のストアで配信されていないため、ユーザーが端末の貸出しを受けなければならないこと。アプリの外国語対応と同時に海外アプリストアでの配信を急ぎ進めたい。
もう1つは、ロケトーンの音声コンテンツを複数のユーザーでいっしょに楽しめる環境が欲しい。これはBluetoothオーディオの新しい音声規格として近くローンチが待望される「LE Audio」が解決してくれるはずだ。LE Audioに含まれるAuracast(オーラキャスト)という技術により、1つのソースを複数の端末で受信しながら聞けるようになる。2023年は映像と、音のメタバースにも注目したい。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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