環境大善の窪之内は「そもそも私たちのような牛の尿を扱う会社で働きたいか」と、悩んだという。ただ、尿を製品化するプロセスと同様に、環境重視で人材採用を考えた結果、ポジティブな循環が回り始めたと明かす。
「私たちは、尿を微生物発酵させて商品を作っているが、同じ有機物分解のプロセスを経る発酵と腐敗は、人にとっていいものを発酵、悪いものを腐敗と定義している。同じように働く環境を整えた結果、いい人材が集まりだし、イノベーションに繋がるようになっていった」(窪之内)
また、浅井農園と筑水キャニコムは、それぞれ農業関連の事業を行う企業ならではの強みを挙げた。浅井農園の浅井は、「私たちの事業は地域に根を張って行うため、地域資源を活用している。地域の資源を生かし、地域に生かされているため、感謝の心を持ちながら、眠っている地域資源を価値に変えるところに徹底的にコミットしていきたい」と言及した。
筑水キャニコム(福岡県)の包行は、「値下げをしないものづくり」とコメント。「農業者が引退し、私たちの農業機械を中古で売るときに価値があるようにするためにも、値下げをしないものづくりを実践している」と、狙いを明かした。
スモール・ジャイアンツ アワード2022-2023のファイナリストたち
セッションの最後は、「はっきり言って うちがグランプリ」と問う質問。環境機器の片山とオータマの奥村の2人が「○」と回答し、環境大善の窪之内は「○」とも「×」とも取れる回答をした。
環境機器の片山は、「あまり強みがない会社が賞をもらうことで、みんなの勇気になるのではないかという意味」と弁明。「一番すごいからグランプリということではなく、一番すごくないのに面白いことをやっていることに価値があるかなと」という独特な表現で真意を語った。一方、オータマの奥村は「社員に一番を取ると約束してきたので、○にしました」と口にした。
環境大善の窪之内は「みなさんスゴイのでわからないなと。時の運とも言え、審査員の方に任せるしかない」と話した。「×」と回答した4人のなか、浅井農園の浅井も「みなさん本当に素晴らしく、しっかり結果を残されている」と同調した。
各企業の多種多様な魅力とエネルギッシュな経営者の姿を目の当たりにした山野は、「楽しそうであることも、非常に重要な要素だと感じた」と感心した様子。「経営者が楽しそうにしていると、社員も楽しくなり、楽しい先には利益がもたらされるのではないか。登壇している経営者の方々は誰もが熱狂されていて、それらはスモール・ジャイアンツとして大事なことだと思う」と、ポジティブな雰囲気に圧倒された印象を明かした。