ビジネス

2022.12.09 09:30

その企業は何がすごい? 「スモール・ジャイアンツ」7社の思考を深堀り


他社に絶対負けない強みはどこにある?


「○×」クイズの形式の2つ目の質問は、「他社には絶対に負けない強みが3つ以上ある」との問い。第一問同様に全員が「○」と答えると思いきや、環境機器の片山だけが「×」と回答した。「なくはないけど、3つはない」と謙虚に口にする片山。ただ、最終的に「競争しない仕組み」「汗をかかない仕組み」「衆知を集める仕組み」という、3つの強みを明かした。

一方、自社への自信を語るほかのファイナリストたち。オータマ(東京都)の奥村哲也は3つではなく、自社の強みを9つ列挙した。“磁気シールド”で世界を席巻する、半導体や医療機器のものづくり現場を支える実力者として、「本当は11個の強みがあったので、これでも絞った方」とコメント。データ量の豊富さやマーケットニーズの集約をはじめ、自社への絶対の自信を口にした。


ライブ配信カメラの前で語るファイナリストたち

過酷な状況でこそ実力発揮する、社会インフラを支える「錆びないボルト」を主力商品とする竹中製作所(大阪府)の竹中佐江子は、「新しい分野として、電子機器部門を立ち上げた。パワーエレクトロニクスという技術を持っている」と発言。今後の飛躍が期待される分野で、「非常にニッチな分野だが、そこで技術開発とモノづくりをしている中小企業は日本で私たちだけ。他社がやらない分野を極めることは、中小企業が生き残っていく上で重要」と、ニッチ分野だからこその強みを語った。

目利きに頼っていた査定ノウハウを数値化して中古車を最大利益で世界へ販売するシーパーツ(山口県)の吉川日男と、牛の尿で消臭液を製造するなど、独自のエコシステムで畜産廃棄物を価値あるものに変える環境大善(北海道)の窪之内誠は、ともに人的資本における強みを強調した。

シーパーツは「経営者と社員の距離ナシ!」という強み。吉川は、「社員の思っていることや新しいアイデアを経営者がいち早く聞いて、それを実現できる環境こそが新しいものを生み出せる。私の得意分野は統計学と人間工学であり、社員の失敗をいかに成功に導くか、いかに新しいアイデアを事業に結びつけられるかが私の仕事」と胸を張った。
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文=小谷紘友 写真=大星直輝

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