コロナ後遺症を抱える人の多くが、頻繁に「スティグマ」を経験

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科学誌「プロスワン」に2022年11月23日付で発表された、英国を拠点とした最近の研究により、「ロング・コビッド」とも呼ばれる、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期間にわたる後遺症に悩む人は、「スティグマ(他者や社会集団によって個人に押し付けられたネガティブなレッテル)」を経験することが多いことがわかった。スティグマを「ときどき」直面する人の割合は95%、「しばしば/常に」経験している人は76%にのぼっている。

ただし、「実際のスティグマ(あからさまな差別の体験)」よりも、「予期されたスティグマ」や「内在化されたスティグマ」が報告されるケースのほうが多かった。

スティグマとは、特定の個人もしくは集団全体が排斥され、完全な社会的受容を否定される、じわじわと広がるプロセスだ(自分個人だけでなく、親族等のスティグマを経験する場合もある)。障がい/健康状態、身体的な外見、肌の色、行動様式などが原因となりうる。

「スティグマや、その結果として生じる排斥や不名誉に対する恐怖は、世間の目から見えないところ、医療サービスから離れたところへと人を追いやり、精神的苦痛に寄与し、ひいては長期における身体的な健康転帰を損なう」と研究チームは論文で書いている。

ロング・コビッドを抱える人たちにとって、これは重大事だ。ロング・コビッドは、コロナ感染後の人を悩ませる多系統性の症状だ。ロング・コビッドを患う人の多くは、筋痛性脳脊髄炎(ME)とも呼ばれる慢性疲労症候群(CFS)を経験する。これは、新型コロナウイルス感染症のような急性の感染症が引き金になって生じる複合的かつ長期的な疾患であり、仕事の能力や生産性をはじめ、日常生活に大きな影響をおよぼすことがある。

英国で実施された2022年の研究では、およそ180万人が、少なくとも1カ月にわたるロング・コビッドを抱えていると推定されている。そのうち、少なくとも79万1000人は1年、23万5000人は2年にわたって、継続してロング・コビッドを患っている。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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