研究チームによれば、ロング・コビッドのように、研究が進んでおらず「議論の余地がある」症状を抱える人は、3つのメカニズムを通じてスティグマに直面するという。具体的には、「実際のスティグマ(あからさまな差別の体験)」、「内在化されたスティグマ(ネガティブな考えを内在化し、特定の健康状態を恥ずかしく思うこと)」、「予期されたスティグマ(他者からの偏見や拒絶的な扱いを予期すること)」だ。
ロング・コビッドの研究はまだ初期段階にあることから、サセックス大学のマリヤ・パンテリッチ(Marija Pantelic)を中心とする研究チームは、ロング・コビッドを抱える人が各形態のスティグマを経験する頻度を調べた。
研究には、英国に住む966人が参加した。参加者の85%は女性で、平均年齢は48歳だった。参加者は、CFS/MEに関する13の質問からなるオンライン調査票に記入した。参加者の回答は、匿名性が完全に保たれている。
参加者の約61%は、「ロング・コビッドを抱えていることを打ち明ける相手」を極めて慎重に選んでいると回答した。また、特定の人に対して、自分はロング・コビッドを患っている、CFS/MEに苦しんでいる、と話したのを後悔することがときどきある、と回答した参加者は34%近くにのぼった。
「各種の健康状態や地理的背景をまたいで集められたエビデンスは、ロング・コビッドのスティグマが、患者のメンタルヘルスを損ない、医療システムとの関わりを弱め、ひいては公衆衛生の妨げとなっている可能性を示唆している」と研究チームは書いている。
「ロング・コビッドのスティグマに取り組むにあたり、エビデンスにもとづく戦略を策定するためには、罹患率の推定を含めたこの問題の状況把握と、スティグマの経時的変化を捕捉できる効果的な尺度が求められる」
(forbes.com 原文)