経済・社会

2022.12.07 10:00

米国による世界のクリーンエネルギー資本投資吸い上げを欧州は懸念

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欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は12月4日に、ジョー・バイデン大統領が署名したインフレ抑制法(IRA)に含まれる新たなエネルギー優遇措置や補助金の強化が、主に欧州を犠牲にして何十億もの投資資金を米国に逃避させるという懸念が高まるため「公共投資を容易にするために自らのルールを調整」しなければならないと述べた。「競争相手の新しい産業政策には、構造的な答えが必要だ」とフォン・デア・ライエンは続けた。

フォン・デア・ライエンの発言は、IRAの新たな措置によって欧州が新たな資本誘致の面で不利になり、米国がロシアによるウクライナ戦争で利益を得ているという一部の欧州指導者からの非難の中でなされた。Politicoは最近、あるヨーロッパの高官の発言を引用して「事実、冷静に見れば、この戦争で最も利益を得ている国は米国です。なぜなら、彼らはより多くのガスをより高い価格で売っており、より多くの武器を売っているからです」と述べている。

バイデンの国家安全保障会議の報道官は、その非難に対して「ヨーロッパでのガス価格の上昇は、プーチンのウクライナ侵攻とプーチンのヨーロッパに対するエネルギー戦争が原因です、以上」と指摘した。欧州やその他の地域への液化天然ガス(LNG)輸出に関連して、米国が国として利益を得ているという非難は、これらの販売がすべて民間企業によって行われる市場ベースの取り決めであることを考えると、ちょっとした誤謬だ。

実際、米国政府には、このような取引の価格を恣意的に設定する権限はほとんどない。米国をはじめとする各国のLNG輸出市場は競争が激しく、もし欧州各国が市場価格を負担しなければ、昨年の欧州のエネルギー危機以前と同様に、アジアなどの他の消費国へ流れていくことは間違いない。

IRAに含まれる無数のインセンティブや補助金による影響についての欧州の懸念は、2021年に制定された超党派インフラ法(BIL)と合わせると、より妥当なものであることがわかる。それらのインセンティブを活用できるプロジェクトに、新たな投資資金が相当量流入することは間違いないだろう。
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翻訳=上西 雄太

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