経済・社会

2022.12.02 12:00

「NO JAPAN」はどこ行った? 円安で韓国から日本への旅行客が急増

Getty Images

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今は昔、新型コロナウィルスがパンデミックになる前の話だが、韓国は日本に対して「NO JAPAN」を連呼していたことがあった。

きっかけは、日本が韓国を特に規制もなく輸出が行える「ホワイト国」から外すと安倍前首相が発表し、それに対して韓国も売り言葉に買い言葉で、日本のモノなんて買ってやるものか、「レクサスもユニクロも買わんぞ!」みたいな感じだった。

それどころか、「ユニクロ着てる奴、売国奴」みたいな感じで、ソウルでユニクロの店に入ろうとすると、その前に立って監視している人たちに写真を撮られ、ボイコット・ジャパンサイトにアップされたりした。もちろん、日本への旅行などもってのほかだった。

コロナ禍で「嫌日」も下火に


日韓関係は、これまで何度も悪くなったり良くなったりしているが、ここ最近の関係悪化は、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の時代で一気に加速した。文政権は2016年の大々的な「蝋燭デモ」によって朴槿恵(パク・クネ)元大統領を大統領の座から追い出し、政権を勝ち取った。

文大統領は、2017年に就任すると、朴政権が日本と取り交わした「慰安婦問題の最終合意」を白紙に戻すとしたため、日本は反発した。さらに、2018年10月、韓国の大法院(最高裁判所)は、強制徴用工に対し日本の企業が賠償金を支払うことを命じた。そして、2019年7月からは「NO JAPAN運動」が始まり、日韓関係はどんどん悪化した。

当時は、「NO JAPAN」や「ボイコット・ジャパン」を表明することで、「わが国を守っている」的な感情になって、それまでよく行っていたラーメン店や居酒屋などにも行くことさえ憚れる感じであった。おかげで、日本人が経営してる和食屋などはもちろん、そうでないお店も「ボイコット・ジャパン」や「NO JAPAN」の張り紙を出してたりした。

ところが、2019年に熱く日本を嫌っていた韓国人は、2020年、2021年、2022年と時間を経るうちに、「NO JAPAN」も「ボイコット・ジャパン」も気にしなくなった。コロナ禍のために、ラーメン店にも居酒屋にも行けなくなり、そもそも日本にも行けなくなったからだ。

日本では、「渡韓ごっこ」をしながら韓国へ旅行できる日を待ち望む人もいたというが、韓国にもとにかく日本行きたいと思っていた人はたくさんいた。特に、今年になって円安が進むと、「もうそろそろ日本へ行けるんじゃない?」と言いながら、日本旅行に備えて円を買う人も増えた。

2019年に100円あたり1059ウォンだった為替レートは、円安が進んで、今年は100円=900ウォン台を維持している。もちろん、現在はドルの1人勝ちなので、円だけでなくウォンもドルに比べれば安い。

パンデミックによる景気の低迷、ロシアによるウクライナ侵攻など、世界経済に暗雲が立ち込めており、通常ならドルだけでなく、世界の安全資産と言われる円も高くなるはずだったが、なぜかいまだに円安が続いている。
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文=アン・ヨンヒ

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