経済・社会

2022.12.02 12:00

「NO JAPAN」はどこ行った? 円安で韓国から日本への旅行客が急増


韓国5大銀行の円預金残高も急増


いまの「ドル高円安」は、簡単に言えば、日米の金融政策の違いが大きく影響している。コロナ禍によるパンデミックの間、日米どちらも政府は国民に対し多額の支援金を出した。どちらも景気振作のための処置だった。

ところが、今年からは「ポスト・コロナ」へと認識を変えて、米国ではこれまでの金融緩和政策を改め、金融引き締め政策に乗り出した。これまで大量にお金を流通させていたためインフレになる可能性が高いので、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を「ジャイアントステップ」と言われるほど引き上げている。

日本の日銀は米国とは反対に、政策金利を低いまま維持しているので、投資家たちが円を売って、米国ドルを買っている。それがずっと続く円安につながっている。

投資は、「安い時に買って高い時に売る」のが鉄則なので、そういう意味では「円買い」をする韓国の投資家たちもいる。今年の5月の資料だが、韓国の5大銀行の円の預金残高は、5536億円で、昨年末より約11.5%(569億円)も増加した。

こうして「NO JAPAN」や「ボイコット・ジャパン」などどこ吹く風で、日本を訪問する韓国人観光客が急増している。2年7カ月ぶりのノービザの入国許可に、「円安」まで重なったからだ。

11月21日の韓国のインチョン空港公社の発表によれば、観光のため日本へのノービザ入国が許可された旅客数は、10月11日以前は1日4000人から6000人だった。しかし、11月20日には1日で2万人を超える旅行客が韓国から日本へと訪れたという。

筆者もこっそりそんな観光客に紛れて今年後半だけで3回も韓国と日本を往復した。そして、日本を訪れるたびに行く先々で韓国語が聞こえてくる割合も高くなっている気がする。そういえば、ソウルでユニクロの店に入っても、入口で誰も写真を撮らなくなった。この平穏な日々が続くことを願う。

文=アン・ヨンヒ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事