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2022.12.05 08:00

誰が「女子アナ」を潰すのか? 元日テレ、吉川圭三に聞く


ちょっと聞きにくいことも尋ねてみた。本作品には、結構えぐい話も登場するが、本当にあった話も含まれているのかどうか、ということだ。

「本当の話もありますが、テレビ業界だけではなく色々な業界の働く女性から聞いた話をハイブリットで書いています。元女子アナ7人とアナウンサー教室の先生に取材もしました」

社会派エンタメ小説も書きたい


最後に、昨今のテレビ業界について聞いてみた。近年テレビ業界の予算が減ったり、見る人が減ったりしていることを、吉川氏はどのように感じているのだろうか。

「つくる側の責任ですね。安易に他局のヒット番組をマネしすぎです。あとデータ重視。視聴者が予測不可能な新しい事をやらないとテレビは潰れます」

放送作家でもある筆者には、ぐさりと突き刺さる言葉だ。

本書には、嫉妬や野望を持ったテレビマンが多数登場する。吉川氏自身は、そのような野望を抱いたことは、ほぼないらしい。

「やはりテレビや映画をつくるならヒットさせたいし、本を書くなら売れて欲しいし、何よりもそれに触れた人に喜んで欲しい。それだけです」

今後はどのようなテーマで執筆するのだろうか。

「十分なリサーチをする時間ができたら、テレビ業界以外のテーマで書きたいです。日本人は“我が国は最高”と考えている方が多いようですが、“日本社会の歪さ“を可視化させるような社会派エンタメ小説を書きたいですね」

女性差別や、女性にとって働きづらい環境は、21世紀の日本でも問題になっている。僕は女性に生まれていたら、こんな風にはなっていなかっただろうと思う。そして、男性に生まれた恩恵を存分に使えていないとも思う。

日々、華やかな世界に登場している女性アナ。その様々な側面を知ることで、日本社会、日本のビジネス界が抱える問題が浮き彫りになる。『全力でアナウンサーしています』を読んで、改めて思い知った。

文=野呂エイシロウ

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