患者がシス女性およびノンバイナリーの場合、トランス女性と比べて誤診率が高く、また確定診断までに複数の受診予約が必要だったという今回の知見から、性感染症専門病院だけでなく、広く医療従事者のあいだで、サル痘に関する研修や啓発が必要だという教訓が得られる。
サル痘の世界的アウトブレイクにおいては、子どもたちのあいだでの感染拡大が大いに懸念された。子どもの感染症は、一般に重症化リスクが高いためだ。多くの専門家は、サル痘は子どもたちを重大なリスクにさらす病気ではないと考えているが、子どもたちをはじめとする特定の集団にウイルスが常在化することへの不安は残る。
こうした不安はまだ過ぎ去ったわけではなく、子どもへのサル痘感染は、少数ではあっても実際に起こっている。ただし、世界の症例全体に占める割合は微々たるものだ。
CDC(米疾病予防管理センター)のデータによると、2022年11月中旬までに、世界の100以上の国と地域で、8万64件のサル痘症例が報告されている。サル痘関連死は51件が報告されており、このうち13件は、過去にアウトブレイクの記録のある国と地域でのものだ。
今回の世界的アウトブレイクが起こるまで、サル痘は性感染症とはみなされていなかった。ほぼすべての感染が、男性どうしの性交渉ネットワーク上で起こったことから、性感染症としての側面が注目されることになったが、性交渉に付随する濃厚接触によって起こる感染と、性交渉に限定される要因(例えば精液や膣液)によって起こる感染は、区別する必要がある。
サル痘に関しては、この2つのカテゴリーの両方に該当されることを示唆する証拠が集まりつつある。男性の精液の中からサル痘ウイルスが検出された事例はこれまでにもあったが、今回の研究チームは、膣液をぬぐったサンプルも検査し、14のサンプルすべてから、サル痘ウイルスのDNAを検出した。この結果は、サル痘は皮膚を触れ合わせる濃厚接触だけでなく、体液を通じても感染するという仮説を支持するものとなる。
(forbes.com 原文)