経済・社会

2022.12.06 08:30

戦地で聞いた「なぜ攻撃されている街で暮らし続けるのか?」

ロシア軍からの攻撃も珍しくないミコライヴ市の路上。カメラを向けると笑顔で返してくれるウクライナの人たち


──撮影された写真には、兵士や市民を問わず笑顔の人が多いですね。それはそういう瞬間を意図的に選んで撮っているのでしょうか?
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いまのウクライナには笑顔があふれています。ウクライナの人たちは、市民も兵士も、私が外国人ジャーナリストだと知ると笑顔を向けてくれます。前線から戻って負傷した兵士も笑顔で話をしてくれて、また前線に行くのだと語ってくれました。彼らは本当に強い。侵略者に対して屈しないという強い意志の現れが、笑顔となっているのでしょう。

先日、現地で知り合った市民の若い人たちによる反撃のプロジェクトを取材しました。どこにでも手に入るポリエステルなどの安い素材で、「カミカゼドローン」(自爆型の使い捨て攻撃用ドローン)と呼ばれる武器を、自分たちの手だけでつくろうというものです。アメリカなどから提供された軍用ドローンのようなものではなく、一般に流通している材料などで、簡易に安価で製造できる使い捨てのドローン兵器です。


ウクライナ市民たちが自発的に開発した秘密兵器。市民ネットワークで製造される簡素で安価ではあるが、効果的な自爆型ドローンである
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民用品を使って、3Dプリンターで部品をつくり、カメラとGPSなどを搭載しているそうです。参加した市民たちはウクライナ全土に拠点を分散して生産しているので、この先も自分たちのネットワークがある限り、武器をつくり続け、戦い続けることができるのです。プロジェクトの中心は20代の若者たちで、戦争の中でもイノベーションを起こそうとしているのかもしれません。

文=小川善照 写真=クレ・カオル

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