ターニングポイント2 2度のピボットを経て主力プロダクトが誕生
「2回目のピボットをしたとき、外国人が飲食店を予約するときはチャットが便利だと知りました。それなら、問い合わせをチャットで自動回答するシステムはどうかと。特に、宿泊業界では便利に使っていただけるだろうと考えました」
そうして2017年1月にリリースしたのが、ユーザーからの問い合わせに回答するチャットボット。現在のtripla Botにつながる、triplaチャットボットだ。
当時は、宿泊予約の仕組みはなく、問い合わせに対応するのみのサービスだった。AIだけでなくオペレーターも併用していたため、人件費も決して安くなかった。ただ、ディープラーニングによってAIの性能は改善されていき、現在では自動化がほぼ実現している。
このようにtriplaは起業から2年ほど試行錯誤を繰り返した。この時期について高橋は「楽しくはなかったですね。とにかく必死でした」と明かす。しかし“3度目の正直”のように、チャットボットはユーザー数が順調に伸びていった。
2019年には宿泊予約システムのtriplaホテルブッキング(現tripla Book)も発表。同年に京急アクセラレータープログラムに採択されたことを機に、一気に自社プロダクトが宿泊業界に浸透していった。
「2018年の4月に、鳥生に『楽しくなってきたよね』と言ったことを覚えています。2019年は絶好調で、チャットボットも予約システムもどんどん利用してもらえるようになりました。2つの軸ができたことで、これで安心だ、もう上場にも近づいてきた気がする、2人で食事しながら話していましたね」
主力プロダクトが生まれ成長軌道に乗ったことで、順調に規模を拡大させていけば、遠くない将来には上場──。
自分たちの目の前にそんな道筋がはっきりと見えてきたとき、再び事業を暗転させる危機的状況に直面することになる。
ターニングポイント3 コロナ禍からの復活
「2020年2月から、売上は何十分の一にもなり、過去最低を更新しました。当然上場どころじゃありませんでした」
新型コロナウイルスによる未曾有の危機で廃業する宿泊施設が続出し、業界全体で縮小が続いた。予想だにしなかった危機的状況のなか、高橋は地道な営業活動を繰り返した。