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2022.11.30 08:20

宿泊業界なのにコロナ禍でも右肩上がり 宿泊施設向け予約システム「tripla」が上場

triplaCEOの高橋和久


「コカ・コーラもいいけど、僕もアマゾンを辞めようと思うんだよね」
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驚きながらも話を聞くと、鳥生は独立を考えているとその構想を語った。それは、インバウンド向けの観光事業の話だった。その後、2015年4月にtriplaの前身となる「umami」を起業した鳥生。彼とビジネスアイデアについて話をしていくうちに、その可能性に魅入られた。

「そのころ、モノを売る事業は長く続かないと感じていました。ただ、観光をはじめとした体験型の消費は、今後も拡大していくのではないかという機運がありました。中国人が日本に旅行に来て“爆買い”するというのが社会現象になっていた時期だったという背景もあります」

一人当たりのGDPがある一定水準を超えた国の人たちは、旅行に楽しみを求めるというデータもある。
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「近い将来にGDPが上がると見込まれる東南アジア各国からの旅行人口も増加するはずだと。東京は訪れたい都市ランキングに必ず入り、東南アジアからの旅行者の行き先にもなるだろうから、インバウンド関連のビジネスは上手くいくのではないかと見込みました」



そこで2015年9月、コカ・コーラを退職しumamiに参画することを決めた。同社のメインプロダクトは、飲食店向けの多言語メニューと注文アプリ、つまり端末を利用したセルフオーダーシステムだった。だが、コロナ禍で国内で利用する店も増えたが、時代を先取りし過ぎていたのか、当時は浸透しなかった。

思惑が外れたことで、自己資金と金融機関からの借入金がショート寸前に陥る。一気に危機的状況に追い込まれるなか、2016年5月の資金調達を機にピボットを決断。

「メニューや注文といった店舗のオペレーションに関わるのは難しいなと。そのため今度は、外国人観光客をターゲットに、日本の飲食店の予約ができる『triplaアプリ』を開発しました」

2016年9月にリリースすると、ダウンロード数は数十万にもなったが、マネタイズの難しさに悩まされることになる。

「グルメサイト経由で予約をする他社のサービスがいくつかありましたが、それらは当時、広告収入が柱になっていました。どの企業も、送客によるマネタイズは実現できていなかったのです」

こうして、2016年11月に2回目のピボットに挑戦した。
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文=小谷紘友 取材・編集=田中友梨 撮影=小田光二

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