家庭でも今夜から育つルール形成力 小学生も「クリティカルシンキング」で

話し合いに参加する東小学校の生徒

正反対の意見が出たときは?


そして、いよいよ本日の本題。「パソコンやタブレットはどうしてみんなのもとに届いたのか?」「どのような目的で端末を使用するのか」をおさえるため、教育委員会指導主事の中村めぐみ先生からのお話で始まった。GIGAスクール構想についての文部科学省の文章を引用しながら、わかりやすい言葉に置き換え、子どもたちに伝えていく。



まずはさまざまな意見を出し合うところからスタートする。「気軽にたくさん意見を出し」、「他の人の意見を否定しない」ことを約束して、「GIGA端末導入の目的をかなえる」ことを考えながら意見を出し合う。

例えば、「休み時間はパソコンを使わないようにする」「休み時間もパソコンを使っても良い」という正反対の意見が出たとき、どのように進めていけば良いのだろうか。

すぐに多数決をとるのではなく、違う立場のそれぞれの意見の背景にある理由を出し合い、自分はどちらがいいと思ったのか、その理由はなぜかなどについても話し合う。



「意見が違うように見えても、共通の願いがある」


「話し合う」上で大事にしたいことも、実践を通して学んでいく。意見が分かれた時には、対立するのではなく、対話を通して「ルールが必要なのは何のためなのか」、「目的は何だったのか」にその都度、立ち返る。そうすれば、「意見が違うように見えても、共通の願いがある」ことがわかり、お互いに納得できるところを見つけることができるという。

「ルールメイキング」と言っても、たくさんルールを作るだけではない。ルールを増やす、ルールを変える、ルールを減らすこと、全てが「ルールメイキング」。つくば市内全学校で同じルールを作るのではなく、それぞれの学校の他の学年、先生、保護者の人たちの願いを大切にしたルールを見つけていくこと。それがこれからのミッションであることを子どもたちはしっかりと受け取ったようだった。

終了間際の感想には、何人もの手が上がり、こんな声が聞こえた。

「パソコン導入は、未来を切り開く自分達のためにあるんだと知ってびっくりしました」(小学生)

「ルールを増やすだけかと思っていたけど、そうじゃないんだと思いました」(中学生)

「正反対の意見でも納得できるものがあっていい時間になった」(小学生)

「他の学校といろんな意見が共有できてとても楽しかった」(中学生)
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文=太田美由紀

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