リチャード・ブランソンとバラク・オバマ夫妻はいずれも、早起きして運動することを心がけている。アリアナ・ハフィントンとオプラ・ウィンフリーは毎日の瞑想(めいそう)を、ビル・ゲイツやマーク・キューバン、ウォーレン・バフェットは読書を習慣としている。
新たな習慣を始めることは簡単かもしれないが、それを続けることは容易ではない。健康的な習慣を維持するには規律とやる気が必要だが、実はそれと同じくらい重要なのが、柔軟なアプローチだ。
行動持続性を研究するミシガン大学の研究者で、書籍『The Joy Choice(喜びの選択)』を執筆したミシェル・シガーによると、健康的な習慣について世にあるアドバイスの多くは「この方法でこれだけの量をやりましょう」というものだが、この考え方は「その通りにできなければいけない」という強い思い込みを生んでしまい、習慣を続けることができない。
習慣が続く人と続かない人
シガーいわく、世の中には習慣が続くタイプの人と、続かないタイプの人がいる。習慣が続く人は、上記のような従来型の方法で成功できるかもしれない。一方、多数派である習慣が続かない人は、そうはならない。
「習慣が続かない人は、生活の中で予想外のことが多く起きる。これは子どもがいて家事を担う人に多く、犬が吐いてそれの後始末をしたり、社交イベントを企画したり、子どもの送迎をしたりしなければいけない。また、職場で多くの部下を持つ人も該当するかもしれない」
では、予定や予定外のことがあまりに多くて、それに時間やエネルギー、集中力を奪われている場合、どうすれば健康的な習慣を維持できるのか?
計画がうまく行かなかったとき、それにどう対処し、折り合いをつけるかを学ぶことが大事だという。これはシガーが「Joy Choice(喜びの選択)」と呼ぶもので、妥協を許さない考え方から離れ、完璧を求めるのではなく「これで十分だ」と受け入れることで、継続的な変化を維持することができる。
「私たちは数十年にわたり、何があっても計画に従うべきだと繰り返し言われてきた。この考え方は私たちの頭にとても深く植え付けられていて、柔軟性のない計画は必然的に空中分解し、私たちはその破片を拾いながら、いつになったら成功できるのかと悲観に暮れてしまう」
しかしシガーによると、柔軟的な思考こそが、こうした場面で一貫した決断を下す上での「真のスーパーパワー」となるという。