Neoplantsのラボで、トーベイーと彼のチームはポトスのゲノムを解読し、自然界にあるポトスの能力を改良した試作品を何十個も開発した。彼らは、ポトスの分子代謝を操作し、VOCを汚染物質として蓄積するのではなく、植物性物質に変換できるようにした。
さらに、植物のマイクロバイオームを改良し、VOCをより効率的に代謝するように、植物内に生息する有益な菌類やバクテリアのコミュニティを強化した。また、汚染物質を除去する効率を向上させるために、(炭のような物質の)バイオチャコールを使って新しい土壌をカスタマイズした。このような植物の改良は、概念的には簡単ですが、技術的には難しいものだ。
インタビュー中、モラは密閉された容器に入った小さな植物をバッグから取り出した。よくある観葉植物で、フィロデンドロンに似ている。「これがゴールデンポトスです。とてもかわいくて、とてもきれいなんです」。
実際の植物は、販売開始後はもっと大きくなる予定だ。空気清浄機能を最大限に発揮するとともに、水やりの頻度を大幅に減らすことができる特注の背の高いスタンドにNeo P1は入っている。
リール大学エコール・ミネ・テレコムと共同で行った初期テストでは、自然界に存在する最も効率の良い植物と比較して、空気中のVOCを除去する効果が最大で30倍であることが確認された。「私たちの最初の製品は、通常の観葉植物30本分に相当します。私たちは、それをとても誇りに思っています」とモラは語った。
Neoplantsは、パリに本社を置くが、米国にも会社を設立した。モラによれば、研究所で研究された植物を商品化するために、フロリダの大手観葉植物栽培業者と最終合意しているところだという。米国農務省の遺伝子組み換え観葉植物に関する規制の下で承認を受ける必要があるこの新しい植物は、自動給水スタンドとマイクロバイオームを強化するための3カ月間のドロップを含めて179ドル(約2万5000円)で販売される予定だ。
「植物は面白くて、一度うまくいくいけば、あとは繁殖させるだけです」
その後、モラは定期的に新製品を発売し、既存の植物に新しい機能を追加していく予定だ。将来の研究のために、同社は現在、パリ郊外のサントゥアン=シュル=セーヌに12000平方フィートの最新研究施設を建設中で、11月にオープンする予定だ。
このバイオエンジニアリングさられた植物が、最終的にどれほどの効率を発揮できるかは、まだ未知数である。「10年後にバカにされたくないんです」とトーベイは言う。「何が限界なのか、本当に分からないんです。植物に関する技術は、まだまだ未熟なのです」。
二人は、長期的には、観葉植物の設計よりもはるかに複雑な仕事である屋外で炭素を捕捉して気候変動に対抗できるような生物工学的な植物を開発したいと考えている。この技術は、土壌の除染にも使えるかもしれないとモラは言う。「私たちの戦略は、できるだけ早く製品を市場に投入し、科学的な信頼性をもって炭素捕捉に移行できるようなユースケースに着手することです」と彼は語った。
(forbes.com 原文)