イタリアの名門ブレーキメーカー「ブレンボ」が大変身


また、ブレンボが採用したのは、パリ在住のオーストラリア人アーティスト、エイメリック・ドゥ・モーティス。無限にループする3つのデジタルアート作品を制作した。まるで3幕からなる演劇のように、創造的なエネルギーとインスピレーションをめぐる旅をコンセプトとした構成になっている。3つのアートは、CGだからこそ動いていても、止まっていてもとても躍動感があって、考えさせられる仕組みになっている。そういう意味では、アートとしては美しいと思った。でも僕はオーストラリア人なので、ブレンボが採用したのがオーストラリアのアーティストなのか気になったけどね。

アート作品

他のアート作品
このデジタルアート展では、エイメリックの作品を基に制作された限定NFTが来場者に無料でプレゼントされる。NFTにも挑戦し出したとは驚きだ。NFTとは、簡単にいうと画像・動画・音声、およびその他の種類のデジタルアートが自分だけのものになる、売買できる所有権みたいなものだ。

最後に触れたいのは、ブレンボが昨年発表した新しいブレーキの技術だ。そのSENSIFY(センシファイ)というブレーキ技術は多くの車両に対応しているけど、特に適しているのは電気自動車だという。これは、各ホイールのブレーキキャリパーをより迅速に電子制御で作動させるというものだから、期待できる。ブレンボはセンシファイなら個々のホイールにブレーキをかけられるから、より安定したコントロールが得られると言っている。

この技術を電気自動車の回生ブレーキと融合させているのがポイントだ。ということで、ブレンボはEVと共存できるようにセンシファイを導入し、デジタルアートを作らせ、もっと若者に支持されるために会社のロゴのデザインもより丸くして親しみやすくしている。そこまで変身すれば、EV社会でもリーダーの座を堅持するに違いない。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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