問題は、その世界一の富豪、イーロン・マスクに買収されたツイッターが今後、現状を維持するのか、改善されるのか、あるいは一層悪化するのかということ、それがユーザーの大量流出につながるのかということだ。
マスクは2020年4月、新型コロナウイルスのパンデミックについて、「現在の傾向からみて、おそらく4月末には米国でも新規感染者がゼロに近くなるだろう」とツイート。専門家たちの見解とは基本的に異なる見方だとして、警告を受けた。
そして、マスクの予想は外れた。米国ではその後、9700万人以上の感染と、100万人以上の感染関連死が確認されている。このほかにも、マスクは新型コロナウイルスの脅威を軽視するツイートを繰り返し、感染対策のために実施されていた措置の解除を呼びかけるなどしてきた。
科学者や医療専門家であれば「誤情報であり、危険」と即座に判断できる情報を、マスクはツイッターでシェアしている。こうしたマスクの態度は、今後のツイッターを示唆するものなのだろうか。
つまり、ツイッターはこれから、誰もが自分の思うことを何でも、他人にそう思って欲しいことを何でも、自由に発信できる場になるのだろうか?あるいは、現実の科学に従って判断する本物の科学者によって行われる、論理的で透明性のある、科学的なモデレーションが実行されていくことになるのだろうか?──現状では、それを見極めるのは難しい。
マスクはまた、「言論の自由」についてツイートしてきたものの、人種差別やその他さまざまな主義、ヘイトスピーチと闘うことについては、何も語っていない。ツイッター上では今後、人種差別的な発言やヘイトスピーチ、いじめが急増するのではないかと懸念されている。
つまり、今のところツイッターの未来の“透明度”は、「ヌテラ(チョコレート風味のヘーゼルナッツペースト)を入れたミルクシェイクと同じくらい」ということだ。