NY市が給与透明化法を施行、公正な給料のために実践すべきこと

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11月1日以降、ニューヨーク市で4人以上の労働者を雇用する経営者は、求人情報に給与の範囲を提示することが義務づけられる。このような法律を施行する自治体は、ニューヨーク市だけではない。コロラド州、カリフォルニア州、ワシントン州にも同様の法律がある。

給与体系の透明化は、賃金の平等(pay equity:同一労働同一賃金)を実現するための強力なツールであり、とりわけ少数派の人種集団や女性にとってプラスに作用することが、多くの研究から明らかになっている。

大手求人サイト「インディード」は最近、求職者が特定職種の給与に関する情報を得られるよう、給与体系透明化ツールを開発した。世界と職場において、より高いレベルの平等と公正を求める声は、もはや無視できない。今後もますます多くの自治体が、ニューヨーク市のような法律を施行するだろう。すべての職場において、透明性を要求する意見が未来をどう変えていくかを考えることが必須なのだ。

この記事では、社内で賃金の平等を推進するための3つの方法を紹介していこう。

1 社員に給与範囲を公開する


法律で義務づけられるのを待つことはない。求人情報に給与範囲を掲載するだけでなく、社員がアクセスできる公の場に給与範囲を公開することを検討しよう。

ソーシャルメディア・マネジメントを手掛けるスタートアップ企業バッファー(Buffer)は2013年以降、社員の給与をウェブサイトに掲載し、全世界に公開している。彼らは「定型ベースのアプローチ」によって給与を決定し、社員の給与に加えて、勤務地や社内での職種といった情報を公開している。このような方針を取り入れることを検討してみよう。

給与情報の一般公開が問題につながる場合は、社員がアクセス可能な形で社内で共有するのでもいい。社員への情報公開は、彼らが給与について抱いている誤解を解くのに役立つ。労働者の圧倒的多数は、給与体系の透明化を望んでおり、透明性の高い給与・報酬体系は、社員の信頼の構築と強化に直結する。

2 給与監査を頻繁に実施する


米国人材マネジメント協会(SHRM)によれば、米国企業の58%は、賃金の平等に関する監査を受けている。SHRMは、積極的に給与体系の自己評価をおこない、期待給与に関して雇用者と被雇用者の対話を増やすことを勧めている。

女性や人種的少数派は、賃金の平等の実現のために、給与に関してもっと交渉すべきだという提言はしばしば聞かれる。だが実際には、女性も人種的少数派も給与交渉をしているが、交渉によって期待どおりの給与を実現できる可能性が低く、さらには交渉がネガティブな結果をもたらすおそれがあることが、研究から明らかになっている。

給与体系の分析および監査の専門家を雇い、年次調査を実施してもらおう。給与監査を実施している事実を社員に公開し、賃金の平等の実現に向けた歩みを進めていることを知らせよう。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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