「やりがい」は続けた先に。俳優・高杉真宙の現在地

俳優・高杉真宙


映画で医師という役どころを務めたものの、じつは当人「日ごろから健康に気を配るということは、あまりない」と話す。

「とくにコロナ禍が始まって以降は、あえて気にしないようにしているというか……。これは、精神的なものなんですけれど、やっぱり、今ってすごく閉鎖的だし、いろんなことを気にしなきゃいけない時代ですよね。

そんななかで、考えすぎないことも重要なのかなと、最近は思っています。気にせずに、自由に、まずは、心を解放して生きていくことも必要なのかなって。そればっかりでは、もちろんダメなのも分かってはいるんですけど。それでも、僕は、まずは心の健康が重要じゃないかな、って。病は気からって、言いますからね」

最近は、画面に自らが登場する俳優の仕事以外にも、活躍の場を広げている。

「ナレーションのお仕事も増えました。ドキュメンタリーの作品に、声を入れさせていただくこともあります。そのような経験から、僕の仕事というのは作品を通して、多くの人にさまざまなことを知っていただくことができる職業なんだと、改めて思いましたし、そのような機会をできるだけ持ちたいとも思っています」



仕事を通じて、自身が学ぶことも多いという。

「これまでも、生まれてきても住民票がない子がいることや、学校へ通うことができない子がいることなど、日本でも、そういった境遇の人がいることを、僕も自分が関わった作品を通じて知りました。世界に目を向ければ、幼くして命を落とす子どももたくさんいます。

現実には、そのような課題が多くあるということを、僕ももっと知りたいですし、多くの人に知ってもらいたい。だから、これからも、そのような作品に携わることで、作品を通じて伝えられる機会を持っていきたいと思っています」

まだ20代半ばだが、すでに俳優としてのキャリアは13年に及ぶ。いっぽうで、社会に目を向ければ、働きがいや、やりがいを見出せない同世代の若者も少なくない。

「やりがいとか、働きがいを見つけるのって、簡単じゃないですよね。人それぞれ、タイミングや運があると思うし。ただ、1つ言えるのは、やりがいが見つからないからやめる、ではなく、1つのことを諦めることなく続けていくこと、見つかるまで続けてみるというのが、重要かなって思います。

僕の場合は俳優という仕事を13歳から始めて、面白いと思えるまで5年ぐらいかかりました。それまでは、途中で辞めようかなって思うこともあったので。5年もかかりましたけど、やりがいが見つかってよかったなって思います」
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文=仲本剛 写真=秋倉康介 撮影場所=ITOCHU SDGs STUDIO

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