「どうせ無理」とつぶやく生徒たちを変えたブラック校則改正プロセス

千葉県立姉崎高等学校の生徒たち


先の見えない社会の中で「解」をつくるために


姉崎高校のルールメイキングをサポートしてきたカタリバの代表理事、今村久美さんは、姉崎高校の生徒たちの手にした力は、これからの子どもたちに欠かせないものだと語る。

「どんどん変化し、これからどうなっていくか先が見えない社会の中で、『解』をつくっていくのは自分自身なんだという実感を持つためにも、身の回りのルールを疑う機会を子どもたちにひらくことが重要です。

その時、こうあるべき、と利己的なルールを主張するだけでなく、立場の異なる人、価値観の異なる人とも対話して、声なき声に耳を傾け、妥協し、折り合いながらルールを作ることが大事だと考えています。今の社会は声の大きい人がルールメイカーになっていますが、多様な人たちの声を社会に反映できるよう、子どもの頃から対話をして自分も意見を言おう、言ってもいい、そう思える土台作りのお手伝いをしたい」



2022年9月24、25日にはカタリバ主催による「ルールメイキング・サミット2022」に参加。姉崎高校の1年半に及ぶ学校でのルールメイキングのプロセスと成果を発表した。写真左がカタリバ代表理事の今村久美さん


東京・代官山蔦屋書店 シェアラウンジのリアル会場で真剣に発表を聞く生徒たち。全国をオンラインでつなぎ、ハイブリッドで開催された。熊本大学教育学部の苫野一徳准教授ほかゲストスピーカーの講評も

2019年に全国でたった3校からはじまったルールメイキング。それらの具体的な実践事例から、生徒、教員、学校のポジティブな変化を知った多くの学校や自治体から多く手が上がるようになり、実践校は現在159校(2022年10月時点)に増えている。

これからの時代、違う経験、違う価値観を持った多様な人たちと共に暮らしていくために必要なのは、声なき声に耳を傾け、異なる意見に共感しながら、みんなの納得解を作ることだ。ルールメイキングは、生徒にとっても、教員にとっても、これからの社会を生きていく上で不可欠な力を育てる重要なプロジェクトとなりそうだ。

文=太田美由紀

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