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2022.10.22 08:00

韓国カカオの通信障害で見えた「スーパーアプリ」が抱えるリスク

Getty Images

韓国では先週末、最も人気のアプリ「カカオトーク」で障害が発生し、何百万人もの人々が決済やフードデリバリーの注文、タクシーの配車、メッセージの送受信を出来なくなった。この事件は、「スーパーアプリ」と呼ばれる複数の機能を持つアプリに依存することの潜在的リスクを浮き彫りにした。

韓国人の90%以上が利用しているカカオトークとその派生アプリは、データセンターの1つで火災が発生したことで、ほぼ全面的に停止した。このアプリは中国のWeChatのようなスーパーアプリで、複数の機能を備えている。

今回の障害によって、韓国全土でタクシーに乗れない人や、店やレストランで支払いができない人、家族や友人にメッセージを送れない人などが発生し、怒りの声があがった。その後、カカオのナムグン・フン共同CEOは19日に辞任した。

「エブリシングアプリ」やスーパーアプリと呼ばれるアプリは、統一されたインターフェースのもとでユーザーが複数のサービスにアクセスできるようにするもので、特に人気が高いサービスを分離させる場合もあるが、同じユーザーアカウントに依存し、主要な機能を共有する場合が多い。

その最も成功した例の一つが中国のアプリWeChatで、メッセージングから始まり、今では決済、Eコマース、SNS、さらには政府の発表にまで利用されている。他にも、シンガポールのGrabは配車アプリとしてスタートし、今ではフードデリバリーや金融サービスまでをカバーするスーパーアプリに成長した。

米国市場向けに同様のスーパーアプリを作るという夢を、イーロン・マスクを含む複数の経営者たちが語っている。マスクは5日、詳細については触れずに「ツイッターを買収することで、エブリシングアプリの創出を加速したい」とツイートしていた。彼は6月に開催されたツイッター社員らとのミーティングの場でも、ツイッターをWeChatのようにしたいと述べていた。

マスクは、一からアプリを立ち上げるのではなく、ツイッターをスーパーアプリに進化させることで、3年から5年の時間を短縮できるとも話していた。マスクがスーパーアプリを熱望するもう一つの理由は、ツイッターやフェイスブックのように広告に依存する必要がないことだ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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